2004 Fiscal Year Annual Research Report
BRCA1によるユビキチンリガーゼ活性を介した染色体安定性調節機構
Project/Area Number |
16591280
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
太田 智彦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (60233136)
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Keywords | BRCA1 / BARD1 / 家族性乳癌 / ユビキチンリガーゼ / Nucleophosmin / RINGフィンガー |
Research Abstract |
研究者らは2001年に家族性乳癌および卵巣癌の癌抑制遺伝子であるBRCA1が、BARD1とともにRINGヘテロダイマー型ユビキチンリガーゼを形成することを発見した。BRCA1は、DNA修復、細胞周期制御、転写制御、アポトーシス制御、中心体複製制御、と多様な生物学的機能を有するが、本研究ではどのようにユビキチンリガーゼ活性がこれらの生物学的機能にかかわっているかを解明するため、基質を含めた活性の下流の機構を解析している。これまでに以下の点が解明された。質量分析計(LCQイオントラップLC/MSシステム)を用いた独自のスクリーニング法を開発し、2つのBRCA1-BARD1の基質を同定した。また、蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動解析システムを用いたプロテオミクス解析から、さらに1つの基質を同定した。このうちの1つはNucleophosmin/B23(NPM)で核内ではクロマチンのリモデリングに関与しており、細胞質では中心体過剰複製を抑制している。BRCA1-BARD1はN末端側にてNPMと結合し、in vivoおよびin vitroにてNPMをポリユビキチン化した。ポリユビキチン化は非定型的なLys-6連結型のポリユビキチン鎖で、これによってNPMは分解されず、逆に安定化した。間期の細胞ではNPMは核小体に存在し、BRCA1-BARD1は核小体以外の核内に存在するのに対して、分裂期ではBRCA1-BARD1とNPMはクロマチン周囲および中心体に共在し、この際にNPMはユビキチン化していることが判明した。これらの結果の一部はJ. Biol. Chem. 270 (30) 30919-22にて報告した。BRCA1の欠失によって中心体過剰複製、Aneuploidyが生じるが、この際にNPMのユビキチン化不全が関与していることが考えられる。現在さらに詳細な機構を解析中である。
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Research Products
(6 results)