2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌患者予後判定因子としてのp53377-385ペプチドに対する抗体の測定
Project/Area Number |
16591281
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
七條 茂樹 久留米大学, 医学部, 助教授 (30080592)
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Keywords | p53 / 抗体 / ペプチド / エピトープ / 乳がん / 予後予測 |
Research Abstract |
大腸癌組織浸潤リンパ球(TIL)由来細胞傷害性T細胞(CTL)株がHLA-B46拘束性に認識するp53ペプチド断片(P53_<377-385>)が、乳癌患者(104人)の23%および自己免疫疾患(50人)の32%の血清によって高頻度に認識される事を見いだした。他方、健常人(5%)、アトピー患者(4%)、前立腺癌患者(0%)血清では頻度が低かった。さらに、手術時(または前)に採血した乳癌患者血清中の抗P53ペプチド抗体と予後との間の関連性をしらべたところ、ステージ、あるいは再発の点で、どちらかというと予後が良い患者血清中で高い傾向が認められた。p53蛋白質に対する抗体は予後が悪い患者血清中に検出されることが報告されており、これらのことから、P53_<377-385>ペプチドに対する抗体は予後予測因子となり得る可能性が示唆された。本年度は、p53オーバーラップペプチドに対する反応性についても検討し、P53_<378-382>の5残基が当該抗体のエピトープであることが示唆された。すなわちP53の372〜388の間で1残基ずつずらした6残基からなる12種類のペプチドを再発群、予後良好群、及び健常人各々3人ずつの血清で測定したところ378〜383番目からなるペプチドで、最も差が認められた。さらに、377〜385の間で、6〜8残基のペプチドを6種類合成し、血清抗体の反応を調べたところ378〜382の5残基が認識されることが示唆された。本研究で、p53分子に対する抗体でも、エピトープによって免疫応答の仕方が異なることが明らかになった。例えば、382〜287番目の6残基ペプチドに対する抗体は健常人や乳がん患者を問わず高い抗体価が認められた。このように複数のエピトープに対する抗体を測定してパターンを解析することにより、より正確な予後予測が可能となることが示唆された。
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