2005 Fiscal Year Annual Research Report
βラクタム系抗生剤併用で増悪するMRSAのバンコマイシン耐性の重要性を検討する
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16591283
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
大慈弥 裕之 福岡大学, 病院, 教授 (60160488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多村 泰輔 福岡大学, 病院・助手 (70352242)
永山 在明 福岡大学, 医学部, 教授 (70037373)
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Keywords | MRSA / バンコマイシン / BIVR / 耐性 |
Research Abstract |
2005年4月〜2005年12月の間、当院救命救急センターの入院患者から採取されたMRSA株と患者経過について研究した。 採取されたMRSA検体数は、31検体、対象患者数は、12名であった。 各症例については、年齢、性別、主病名、予後、SIRS(systemic inflammatory response syndrome)の有無、糖尿病の有無、MRSA感染症の治療薬剤、MRSA検出前のセフェム系抗生剤使用の有無、セフェム系抗生剤使用開始後、MRSAが検出されるまでの期間、菌株の由来、MICについて調査した。 年齢は、40歳から67歳。主病名は、中枢系疾患が5例、外傷又は熱傷が4名、褥瘡が3名で、死亡例は無かった。 検出されたMRSAは、MIC分析からは5種類に分類された。菌株は、血液、褥瘡、膿、痰、血液から採取された。 全例が、MRSAが検出される前にセフェム系抗生剤を使用されていたことから、体内でのselectionの結果、検出された可能性が示唆された。また、全症例が、検出されたMRSAを起炎菌とする感染により、SIRSの状態を呈していた。 バンコマイシン単独加療で改善した症例は、1例であり、他は、アルベカシン単独、アルベカシンとスルバクタム/アンピシリンの併用療法、テイコプラニンとカルバペネムの併用療法といった種々の治療法が行われた。βラクタム剤により誘導される株の検出とそれぞれの株の微細な耐性の程度と臨床経過との関連に関しては、現在、研究を継続中であるが、最も簡易なBIVRスクリーニング法であるMu3寒天培地を使用して、培地上全面に発育する比較的高度耐性を呈するバンコマイシン低レベル耐性株は、今回の採取株からは検出されなかった。バンコマイシンの長期投与症例は無かったこととも関連しているものと思われた。
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