2005 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌に対する癌抗原ペプチドワクチンと抗癌剤併用療法の開発
Project/Area Number |
16591324
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 光太郎 山口大学, 医学部, 非常勤研究員 (50304481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 茂文 山口大学, 医学部, 講師 (60294633)
上野 富雄 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (70284255)
硲 彰一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50253159)
岡 正朗 山口大学, 医学部, 教授 (70144946)
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Keywords | 膵癌 / 免疫療法 / 化学療法 |
Research Abstract |
本研究では免疫療法として、癌ペプチドワクチン療法を選択した。根拠となる癌ペプチドワクチン療法に関する論文を研究期間中に2編発表した。一つはペプチドワクチンとしてMUC1ペプチドを用いた第I相臨床試験をまとめた。切除不能、再発膵・胆管癌症例9例を対象とし、MUC1ペプチドを300から3,000mgの範囲で投与量をふり、14日ごとに投与する免疫療法である。Primary endpointである有害事象としては軽度の投与局所における発赤・腫脹を認めた。Secondary endpointである治療効果としては、血液中の抗MUC1 IgG抗体増加と治療効果との間に相関する傾向を認め、stable disease (SD)を8例中1例に認めた。一つは本研究で選択した癌ペプチドワクチン療法の第I相臨床試験をまとめた。切除不能、再発膵癌症例11例を対象とした。この論文での癌ペプチドワクチン療法は、患者末梢血単核球のペプチドに対する反応性をスクリーニングし、HLA-A2症例では16種類、HLA-A24症例では14種類のペプチドの中から、患者に適合したもの最大4種類を選択し、14日ごとに投与するテーラーメイド型免疫療法である。Primary endpointである有害事象としては、血液毒性など重篤な事象は認めなかったが、頻度の多い事象として投与局所の発赤・腫脹を7例に認めた。Secondary endpointである免疫能の検討ではペプチド特異的CTL増加を8例中4例に、ペプチド特異的IgG抗体増加を10例中4例に認めた。臨床効果として、SDが3例で、3回以上ワクチン投与を受けた10症例の6ヶ月生存率は80%で、12ヶ月生存率は20%であった。これらの研究成果に基づき、切除不能膵癌に対する臨床効果のある治療法の開発を目指して癌ペプチドワクチン療法とGemcitabine (GEM)による抗癌剤併用療法の臨床試験を立案した。本研究で使用した癌ペプチドワクチンは、前述論文の30種類から68種類に増やし、その中から患者に適合したものを選択するようにした。本研究は現在、有害事象および免疫能や臨床効果などを検証中であるが、癌ペプチドワクチン療法単独より臨床効果が期待できるが、今後更なる検討を要する。
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