2004 Fiscal Year Annual Research Report
大規模定量的PCR法を用いた大腸癌に対する抗癌剤感受性遺伝子診断キットの開発
Project/Area Number |
16591335
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
渡曾 伸治 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10244477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 靖史 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70254208)
籾山 信義 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20363822)
林崎 良英 理化学研究所, ゲノム科学総合研究センター, プロジェクトディレクター (70192705)
鈴木 治和 理化学研究所, ゲノム科学総合研究センター, チームリーダー (80333293)
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Keywords | 定量的PCR / 大腸癌 / 感受性試験 / 制癌剤 / 遺伝子 |
Research Abstract |
【背景・目的】オーダーメイド医療が求められる現在、抗癌剤5-FUの効率的な投与は不可欠である。我々はこれまでに大腸癌細胞株において5-FUの感受性に関与すると考えられる81遺伝子の感受性規定候補遺伝子群を報告してきた(第103回日本外科学会定期学術集会2003年6月札幌)。今回、これら81遺伝子を定量的PCR法を用いて臨床検体において測定し予測式を作成、その有用性を検討した。【対象・方法】対象は2001年4月から2003年12月までに当科で経験した大腸、直腸癌の同時性肝転移症例の18例で5-FU感受性群9例と非感受性群9例。いずれの症例も原発巣切除後に5-FUを中心とした肝切除前の肝動注化学療法を2クール以上施行されている。real time PCRはABI Prism 7900で行った。(1)感受性規定遺伝子の同定:感受性群、非感受性群の発現量をU-testで検定し有意差を認める遺伝子を選出した。(2)予測式の作成:選出した遺伝子を用いて抗癌剤の効果を判別する回帰式を判別分析を用いて試行した。【結果】(1)81遺伝子のうち4遺伝子(TNFRSF1B, SLC35F5,NAG-1,OPRT)で感受性群と非感受性群で有意差を認めた(p<0.05)。(2)選出された遺伝子を用いて判別解析を行ったところ3遺伝子(TNFRSF1B, SLC35F5,OPRT)を用いる判別式が作成され、感受性群9例のうち8例、非感受性群9例のうちの8例が正しく判別された(正診率:88.7%、p=0.0035)。正診率:83.3%、感度:100%、特異度:66.6%であった。【結語】(1)臨床検体を用い5-FU感受性に関与すると考えられる4遺伝子を同定し、このうちの3遺伝子の発現量をもとに感受性予測式を作成した。(2)3遺伝子のみで肝転移巣に対する5-FUの効果予測が可能であり臨床的にも有用であると考えられた。
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Research Products
(5 results)