2005 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白チップを用いた消化器細胞の分化・再生の段階の指標となる細胞マーカー群の決定
Project/Area Number |
16591340
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
萩原 明郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (90198648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪倉 長平 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (10285257)
内藤 裕二 京都府立医科大学, 医学部, 助教授(寄附講座) (00305575)
中村 達雄 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (70227908)
米村 豊 県立静岡がんセンター, 副院長 (20167042)
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Keywords | 小腸上皮 / 細胞分化 / 蛋白チップ / DNAチップ / 線維芽細胞 / Notch Signal Pathway / ラット / 消化管 |
Research Abstract |
継代培養可能なラット小腸粘膜Cell Lineを用いて、コラーゲン・ゲル内で細胞培養を行ない、小腸粘膜上皮への分化を検討した。更に小腸粘膜への分化傾向を認めた場合に特異的に増加・発現するRNAと蛋白質を、DNAチップとプロテオ・ミックスによって解析した。(1)ラット小腸粘膜細胞単独の培養では、形態学的検討では細胞はコレーゲン・ゲルの表面に連続した単層の扁平な上皮として増殖した。この単層の扁平な上皮細胞は、複数の粘液蛋白、小腸上皮内分泌細胞や吸収上皮細胞に特異的な蛋白質に対する酵素抗体染色法による検討でも、何れの方法でも小腸粘膜上皮への分化傾向は全く認められなかった。(2)腎周囲線維芽細胞(NRK-49F)との共培養では、若干の重層化とやや厚みのある細胞形態を示したが、重層化は限定的であった。また複数の粘液蛋白、小腸上皮内分泌細胞や吸収上皮細胞に特異的な蛋白質に対する酵素抗体染色法による検討でも酵素抗体染色による小腸分化傾向は見られなかった。(3)一方、ラット小腸粘膜下層から取った線維芽細胞との共培養では、形態学的にも小腸粘膜細胞の明らかな重層化と不完全ながら腺管構造形成を示し、この変化はラット小腸粘膜下層由来線維芽細胞の細胞濃度に依存的な分布傾向を示した。吸収上皮細胞に特異的な蛋白質に対する酵素抗体染色法では小腸上皮細胞への分化傾向は確認できなかったが、小腸上皮内分泌細胞や粘液蛋白に対する特異的な酵素抗体染色による検討では内分泌細胞や粘液成分を含有した細胞への分化傾向を示した。これらの小腸上皮細胞への分化傾向は、培養開始1週間目頃から認められ、経時的に進行した。(1)と(2)の場合には、蛋白分析では何ら格別な蛋白質の発現は認められなかったが、(3)の場合には培養開始1週間頃からNotch Signal Pathwayに関与する物質の発現が認められ、しかも経時的に増強するのが認められた。
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