2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝切除術の適応拡大を目的とした遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
16591345
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
内山 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (80232867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
岩橋 誠 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70244738)
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Keywords | 肝切除術 / 肝硬変 / 肝再生 / アデノウイルスベクター / HGF / TGF-β |
Research Abstract |
本年度はβ-galactosidaseを発現するアデノウイルスベクター(AdLacZ)を用いてラット肝硬変モデルにおける発現効率および肝機能障害の程度を検討し,至適アデノウイルスベクター投与量を決定した。また来年度予定している治療実験にて使用するヒトtruncated type II TGF-β receptor(TβTR)発現アデノウイルスベクター(Ad TβTR)およびラットhepatocyte growth factor(HGF)発現アデノウイルスベクター(AdHGF)の増殖,精製,濃縮を行った。 1.肝硬変モデルに対するin vivo発現実験 Sprague-Dawley系雄性ラットに対しdimethylnitrosamine(DMN)(10μg/g体重)を週3回連日腹腔内投与3週間行い,肝硬変を作成した。DMN最終投与5日目に開腹し,AdLacZを門脈内投与した。AdLacZは投与量により5.0×10^8pfu,1.0×10^9pfu,2.0×10^9pfuの3群(各n=3)を設定した。AdLacZ投与後4日目に再開腹し,採血および肝摘出を行った。Azan-Mallory染色を行い線維化の程度を病理学的に検討した結果,薄い線維隔壁で形成された偽小葉がすべてのラットにおいて認められた。摘出肝の凍結未染標本を作成し,X-gal染色を行った結果,5.0×10^8pfu投与群において約40%の肝細胞に,1.0×10^9pfu投与群において約60%の肝細胞にβ-galactosidaseの発現が認められた。血液生化学検査にて5.0×10^8pfu投与群および1.0×10^9pfu投与群においては肝機能障害は軽度であったが,2.0×10^9pfu投与群では高度の肝機能障害にてラットは死亡した。以上の結果により肝硬変モデルにおける至適アデノウイルスベクター投与量を5.0×10^8pfu〜1.0×10^9pfuと決定した。 II.Ad TβTRおよびAdHGFの調整 Ad TβTRは産業医科大学生化学教室上野光教授より供与頂き,AdHGFは理化学研究所バイオリソースセンターより購入した。入手したウイルス液(Ad TβTR,AdHGF)の一部を293細胞に感染させウイルスを増殖させ,CsCl step gradient超遠心法にてウイルスの精製濃縮を行った。ウイルス力価測定を行った結果Ad TβTRは2×10^<10>pfu/ml, AdHGFは5×10^9pfu/mlの高力価ウイルス液を得ることができた。また,ラットHGF EIAを用いてAdHGFにおけるHGF蛋白の発現を確認した。
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Research Products
(1 results)