2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591351
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大谷 吉秀 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (20168983)
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Keywords | 胃癌 / フラボノイド / MMP / 腹膜播種 / 転移 / 併用効果 / アポトーシス / G1 arrest |
Research Abstract |
癌が浸潤・転移する際の細胞外マトリックスの破壊や腫瘍増殖における血管新生に注目し、種々のマトリックス分解酵素阻害剤(R94138,マリマスタット、ノビレチン)の転移抑制作用について、動物モデルを用いて検討してきた。今回、柑橘系フラボノイドであるノビレチンによる抗転移治療の可能性について、既存の抗癌剤との併用効果に注目しながら、SCIDマウスヒト胃癌腹膜転移モデルを用いた治療について検討した。 【目的】近年、フラボノイドの薬理効果について感心が高まるとともに、さまざまな生理的活性が明らかにされている。今回、沖縄産シークワーサーから抽出された柑橘系フラボノイドであるノビチレンを用い、その薬理効果のうち、MMP発現、細胞増殖、apoptosis誘導、細胞周期に及ぼす影響について検討した。さらに既存の抗癌剤との併用効果を検討するとともに、SCIDマウス転移モデルを用いて腹膜播種抑制効果を検討した。 【方法】ノビレチンのMMP抑制効果を評価するため、TMK-1とマウス線維芽細胞株の共培養上清を用い、gelatin zymographyを行った。抗腫瘍効果を評価するために、in vitroにおいては各種ヒト胃癌株(TMI-1,MKN-45,MKN-74,KATO-III)を用い、MTT assayによる判定を行った。また、ノビレチンによる増殖抑制効果の機序を検討するため、TUNEL法によるアポトーシスの検討を行った。さらにフラボノイドの生理的機能の一つである細胞周期に及ぼす影響をみるため、flow cytometry法を用いたDNA histogramによる検討を行った。これらの結果を踏まえ、既存の抗癌剤との併用効果を観察する目的で、CDDPを用いて増殖抑制効果を検討した。In vivoの系として、TMK-1によるSCIDマウス腹膜播種モデルを作成した。TMK-1投与後1週目にノビレチンをマウス背部皮下より浸透圧ポンプを用いて持続投与し、3週間目にマウスを犠死させ、腹膜播種結節の総重量を計測した。なおノビレチンは、東京薬科大学薬学部第一生化学教室伊東 晃教授より供与された。 【結果と考察】ノビレチンによりproMMP-9は濃度依存性に抑制された。In vitroにおいて4種の胃癌株の増殖を濃度依存性に抑制し、その機序の一つとしてアポトーシスによる抑制が認められた。またflow cytometry法によって、ノビレチン投与24時間後においてG1 blockを認めた。CDDPとの併用投与では、ノビレチン先行投与群で相乗効果を認めた。胃癌腹膜播種モデルにおいて、ノビレチン投与群で播種結節の形成が有意に抑制された。以上より、ノビレチンは細胞増殖抑制効果およびMMP-9の産生阻害を介して、ヒト胃癌株の腹膜播種形成を抑制すると推測された。今回の研究を通じて、進行消化器癌の治療においてフラボノイドが応用できる可能性が示された。
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Research Products
(6 results)