2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ カプセルを用いた大腸癌特異抗原を分子標的とした新しいミサイル療法の開発
Project/Area Number |
16591353
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長谷川 博俊 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00218455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 良幸 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30255468)
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Keywords | ナノカプセル / ミサイル療法 / paclitaxel / 抗EGFR抗体 |
Research Abstract |
ナノカプセルは約50nmの中空な疎水性ユニットを含んだ水溶性カプセルである.抗癌剤の多くは難溶性のものが多いが,このナノカプセル内に内包することにより水溶性にすることができる.さらにこのナノカプセルに癌特異的抗体を結合させることにより,組織特異性を高め,難水溶性の抗癌剤を内包した水溶性ポリマーを用いて,新しいミサイル療法を開発することが本研究の目的である. 抗癌剤として,現在臨床にも用いられているCPT-11,CPT-11の活性物質であるSN-38, Oxaliplatin, 5-fluorouracilで殺細胞効果を評価したが,ナノカプセルの封入が安定しなかった.従って,封入が容易であるパクリタキセル(PTX)を用いた.使用する抗体には,当初抗CEA抗体,p53抗体を想定していたが,血中にもそれらの抗体が浮遊しており,標的臓器に到達する前に抗体結合ポリマーが結合してしまうのではないかと指摘があり,抗EGFR抗体(マウスモノクローナル抗体:528)を用いた.抗癌剤単独群(A群),抗癌剤+MPCポリマー群(B群),抗癌剤+MPCポリマー+癌特異的抗体群(C群)におけるEGFR過剰発現細胞株(A431),EGFR非発現細胞株(H69)に対する殺細胞効果をMTTアッセイ法で測定した.A431ではA,B群間には殺細胞効果に差を認めなったが,C群ではA,B群の半量の抗癌剤にてIC50を得ることができた.H69ではA,B,C群間には殺細胞効果に差を認めなかった. 今後は担癌ヌードマウスを作製し,抗癌剤単独群,抗癌剤+MPCポリマー群,抗癌剤+MPCポリマー+癌特異的抗体群での殺細胞効果を評価していく予定である.
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