2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌血管の特異性を標的とした大腸癌抗血管新生療法に関する研究
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16591366
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
山田 恭司 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (80191302)
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Keywords | Angiogenesis / Argatroban |
Research Abstract |
実験計画に従って、癌血管の特徴を解明し、治療に繋げることを目的として、形態学的アプローチと機能的アプローチを行っている。まず、形態学的なアプローチとして腫瘍血管新生におけるAngiopoietin1/2バランスと抗凝固薬であるArgatrobanの抗腫瘍血管新生効果の検討を行った。さらに機能的アプローチとして一酸化窒素の腫瘍血管新生における発生とその阻害薬であるNG-nitro-L-arginine methyle ester(L-NAME)の抗腫瘍血管新生作用を検討中である。 今年度に行った研究では、我々は新規抗凝固薬であるArgatrobanに着目し、その癌血管新生抑制効果をマウス癌細胞含有チャンバー移植実験モデルとMarigel asseyを用いて検討した。 Argatroban投与後の癌血管新生に対する影響を肉眼的血管構築の変化と血管面積、CD34微小血管密度(MVD)、皮下組織の血管新生因子(Ang-1、Ang-2、VEGF)を測定し、比較検討した。Argatroban投与群の新生血管は非投与群と比べ、有意に抑制され、免疫組織学的にもそのMVDも有意な低下がみられた。血管新生因子も抑制傾向がみられたが、Matrigel asseyによるHUVECの毛細管形成能は抑制されず、血管内皮細胞に対する直接作用は少ないと考えられた。またこの実験系において血管新生因子の検討から癌周囲組織ではAng2/Angl balanceは常に正に傾いて血管伸長が有意な状態にあり、特徴的な癌血管構築に繋がっている可能性が示唆された。以上の結果よりArgatroanは癌血管新生を抑制する可能性が示唆され、抗腫瘍効果が期待できる薬剤と考えられた。また癌組織のAng2/Anglbalanceから癌血管新生の抑制戦略にはAng1による競合的Ang2抑制やTie2receptor阻害などによるAngシグナルの抑制が効果的である可能性が示唆された。 次に腫瘍組織における一酸化窒素異常に着目し、同様のマウスモデルを用いて腫瘍血管新生過程における一酸化窒素の発生をNOX、VEGF、Endostatin、HGF等の血管新生因子の消長とL-NAMEの抗血管新生効果を検討中である。
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Research Products
(1 results)