2004 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌に対する非骨髄抑制性抗癌剤併用免疫細胞療法についての研究開発
Project/Area Number |
16591378
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
唐 宇飛 久留米大学, 医学部, 助手 (60268901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山名 秀明 久留米大学, 医学部, 教授 (30140669)
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Keywords | 癌免疫療法 / 非骨髄抑制性抗癌剤併用免疫細胞療法 |
Research Abstract |
高度進行再発癌に対するペプチドワクチンや自己活性化リンパ球による腫瘍免疫療法の臨床試験から担癌生体おいては免疫惹起反応が認められ,若干の臨床有効性も見られたが,新しい癌集学的治療として確立するためには腫瘍免疫拒絶反応を強力で持続的に発揮させることが重要である.我々は抗癌剤及び腫瘍細胞免疫療法の異なる機序を利用した骨髄非抑制性で治療耐性を生じにくい癌集学的治療を開発するため,進行癌に対して癌細胞免疫療法を先行し,抗癌剤を反復併用する治療を試験的に行った.本法の副作用発生は従来の標準的化学療法よりも低く,長期的治療が可能であった.有効例の一部では治療後血清中IFN-γとTNF-αが増加し,無効例ではTGF-β1とIL-4が同時に増加傾向にあった.本臨床試験の結果により免疫細胞療法と化学療法との相互的な補助効果が示唆された.これまで報告してきた方法により患者末梢血リンパ球を用いて,自己癌細胞との2週間リンパ球腫瘍混合培養(MLTC)により自己活性化リンパ球を誘導し,生体内投与を行った.免疫細胞療法は癌局所か経静脈的に2週間隔3回投与で1クールを施行後に,標準的化学療法あるいは放射線療法を平行に施行した。対象総症例数は19例(食道:6;胃:3;大腸:3;膵:2;乳癌:2;肺;3)であった.患者末血中活性化リンパ球の性状や細胞傷害性をFlow cytometryや^<51>Cr release assay等にて評価し,臨床効果及び副作用はJCOG-CTC基準にて判定した。治療前と治療3回目後の患者血清のサイトカイン産生はELISA法で解析した.2週間混合培養により誘導リンパ球の各分画(%)はLAK, CTL precursor(CD3^+CD8^+):41.4±28.9,CD3^+CD4^+T細胞:65.8±19.3;NK(CD56^+CD I^6+):16.6±15.5,DC(CD86^+CD83^+):36.4±24.3であった.本臨床試験において全部で19例に(前治療化学療法を受けた症例:13例)対して治療を行った.平均治療期間は11.5ヶ月であり,その中著効例は8症例(CR:2;PR:6);不変例(NC)は7例;無効例(PD)は4例であった.治療期間中に発生した有害事象は発熱(37〜38度台):15例(81%);倦怠感:12例(63%);消化器症状:4〜5例(19〜25%);白血球減少:3例(16%);関節痛:2例(8%)であった.抗癌剤併用免疫細胞療法の反復:投与による治療後の血清サイトカイン産生量と本治療法との相関性有無を調べるため,治療前及び細胞免疫療法6回目,化学療法3回目終了後の計13例癌患者血清を用いて,IFN-γ,TNF-α,TGF-β1とIL-4の産生量を測定した.著効例中2例でIFN-γ,1例でTNF-αが増加した.TGF-β1,IL-4は著変がなかった.SDの6症例中2例ではIFN-γ,1例ではTNF-αが増加し,1例ではTGF-β1,IL-4の同時減少を認めた.PDの4例中3例ではTGF-β1とIL-4同時に分泌増加であった.抗癌剤併用免疫細胞療法では骨髄抑制など発生率が低く,長期的治療が可能であった.有効例中では患者血清中IFN-γとTNF-αが分泌増加し,無効例ではTGF-β1とIL-4分泌が同時に増加傾向がみられた.難治性癌患者に対し,特異的免疫細胞療法と化学療法との相互補助効果が得られ,治療成績向上に寄与することが示唆されたが,新しい癌の集学的治療法として確立するため、各癌腫別の臨床試験が必要と思われる.
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Research Products
(1 results)