2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍への感染効率を高めた改変型腫瘍融解性アデノウイルスによる消化器癌の治療
Project/Area Number |
16591381
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Research Institution | Chiba Cancer Research Institute |
Principal Investigator |
田川 雅敏 千葉県がんセンター(研究所), 病理研究部, 部長 (20171572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 武徳 千葉大学, 大学院・医学研究院・先端応用外科, 教授 (80114255)
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Keywords | 遺伝子治療 / 腫瘍プロモーター / E1A / 腫瘍融解性ウイルス / ファイバー・ノブ構造 / サバイビン / ミッドカイン |
Research Abstract |
これまで遺伝子導入に用いられてきたアデノウイルスはタイプ5型であるため、標的細胞上のタイプ5型受容体であるCoxsackievirus and Adenovirus Receptor(CAR)分子の発現レベルに、その感染効率が大きく依存している。しかし、消化器癌ではしばしば、このCAR発現レベルが低下しており、その結果消化器癌におけるタイプ5型ウイルスの感染効率が低下し、抗腫瘍効果の減弱が想定される。そこで、受容体との結合に関与するファイバー・ノブ構造を、タイプ35型ウイルスとした改変型のウイルスを作成すれば、タイプ35型の受容体であるCD46分子が消化器癌では高発現であることから、より強い抗腫瘍効果が得られるはずである。そこで、腫瘍において高発現を見るサバイビン、ミッドカインイ遺伝子の転写調節領域(それぞれ約450bpと600bp)を用いて、アデノウイルス初期転写遺伝子E1A/E1Bの発現を制御しうる、腫瘍融解性ウイルスを作成した。この時、改変型ウイルスの作成を容易にするために、E1A/E1B分子の発現を任意の転写調節領域で制御しうるシャトルベクターを構築し、またファイバー・ノブ構造のみをタイプ5型より35型に変換したウイルスDNAを作成した。その結果、ウイルス作成に必要な遺伝子を一つのDNAに組み込める系を新たに構築できた。このベクター系を使用して作成した改変型腫瘍融解性ウイルスは、タイプ5型の腫瘍融解性ウイルスに比較して腫瘍への感染効率が高く、その結果、CAR発現の低い腫瘍に対して、タイブ5型の腫瘍融解性ウイルスよりも強い抗腫瘍効果を示した。また、CAR発現が高い腫瘍に対しては、改変型ウイルスによる抗腫瘍効果は、タイプ5型のウイルスと同程度であった。
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Research Products
(6 results)