2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591398
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊達 洋至 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (60252962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 信義 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90108150)
佐野 由文 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60322228)
青江 基 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80260660)
岡部 和倫 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90260661)
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Keywords | 生体部分肺移植 / ドナー / レシピエント / 気管支吻合 |
Research Abstract |
脳死ドナーが非常に少ない日本において、生体部分肺移植は重要な治療方法として認められつつある。これは、二人の健康なドナーが、それぞれの右下葉あるいは左下葉を提供し、レシピエントの右肺および左肺として移植する術式である。当然、移植される肺が小さいため、体格の大きな大人、特に男性がレシピエントであると、相対的に移植肺が小さくなりすぎて、肺高血圧症、肺水腫を起こすと考えられる。そこで、われわれは、新しい術式"Unilateral double lobar lung transplantation"を考案し、犬を使ってその術式を確立した(Okutani et al. J Thorac Cardiovasc Surg 127:563-7,2004)。この方法は、レシピエントの右肺摘出し、そこへ、ドナーの左下葉と右下葉を移植する方法である。犬を使った6回の移植実験はすべて成功し、レシピエントは移植された肺のみで3時間にわたって良好な呼吸機能を示した。3時間後の動脈血酸素分圧は519±31mmHg、平均肺動脈圧は30.5±1.7mmHgであった。 これを臨床応用すべく、平成16年度は、生存実験を行って、長期の呼吸機能の変化、気管支吻合部の治癒過程を検討した。生存犬は移植後1週問目と3週間目に左肺動脈閉塞試験を行って、移植した右肺の機能を測定した。また、気管支鏡によって、気管支吻合部治癒過程を検討した。その結果、9回の移植実験で6例が長期生存し、良好な肺機能および気管支吻合部治癒が得られた。一方、3例は翻転して移植した左下葉グラフトにキンキングを生じ、肺うっ血をきたし、さらに気管支吻合部解離で死亡した。つまり、新しい術式"Unilateral double lobar lung transplantation"は、長期的生存という点からも実施可能な術式であることが証明された一方、左下葉を右上葉として翻転して移植するという非解剖学的吻合部に欠点があることがわかった。現在はこの欠点を補うべく、気管支吻合に時計軸方向のわずかな捻転をくわえるなどの改良をし、実験を継続している。
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