2005 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌のリンパ節転移に対するバイオマーカーによるアプローチ
Project/Area Number |
16591412
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高浪 巌 帝京大学, 医学部, 教授 (30101976)
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Keywords | 肺癌 / リンパ節転移 / 転移メカニズム / CCR7 / VEGF-C / AMFR / Angiopoietin-2 / リンパ管密度 |
Research Abstract |
肺癌では不幸な転帰を予想できるリンパ節転移の有無を明確に検索できるバイオマーカーが求められていた。癌がリンパ節に転移するメカニズムも少しずつ分かってきた。即ち、癌細胞が微少リンパ管を作るメカニズム、癌細胞が腫瘍から離れリンパ管に遊走するメカニズム、癌細胞がリンパ管内をリンパ節に遊走し癌細胞を保有するリンパ節を作るメカニズムなどこれらの作用の結果よりリンパ節転移が生ずると考えられる。肺癌の一部から微量に採取された標本からこれらのメカニズムを生じさせる物質をmRNAレベルにて測定することで、十分にリンパ節転移を生ずるか否かバイオマーカーにより検索することができる。これらのリンパ節転移を来すVascular endothelial growth factor(VEGF-C), Angiopoietin-2(Ang-2), Chemokine receptor-7(CCR-7), Autocrine motility factor(AMFR)のmRNAの発現の有無を肺癌の臨床に役立てた。肺癌のmRNAの検索においてはVEGF-C, Ang-2,CCR-7,AMFRがそれぞれ発現しているとリンパ節転移を来すことが考えられ癌のリンパ節転移検索のバイオマーカーとなりうる。臨床像や予後が判明している肺癌症例を用いVBGF-C, Ang-2,CCR-7,AMF-Rの発現を検討した。肺癌の臨床特にリンパ節との関係について多変量解析を用い、リンパ節に最も影響するマーカーは何か検索したところCCR-7が肺癌のリンパ節転移と最も有意な相関があることがわかり、これについて帝京医学雑誌、日本外科系連合学会雑誌並びに第22回日本呼吸器外科学会シンポジウムにおいて発表した。また、術前気管支鏡にても採取した生検組織よりmRNAレベルのCCR-7の発現の有無を検索し手術前より各症例のリンパ節転移能に関して検索することも可能であった。また、微少リンパ管の単位あたりの密度とリンパ節転移との関係並びにこれらのバイオマーカーの及ぼす影響についてはLymphatic microvessel density using D2-40 is associated with nodal metastasis in non-small cell lung cancerとしてOncology Report 2006年15巻437-442において、微少リンパ管の単位あたりの密度がリンパ節転移、VEGF-C、CCR7とも有意な関係にあることを発表した。またこれについては"非小細胞肺癌におけるD2-40によるリンパ管密度とリンパ節転移との関係"として第106回日本外科学会定期学術集会で発表した。
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Research Products
(3 results)