2005 Fiscal Year Annual Research Report
左心房容量負荷モデルにおける肺静脈の電気生理学的特性
Project/Area Number |
16591418
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
新田 隆 日本医科大学, 医学部, 助教授 (40256954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 重人 日本医科大学, 医学部, 講師 (20291718)
大森 裕也 日本医科大学, 医学部, 助手 (40343587)
石井 庸介 日本医科大学, 医学部, 助手 (10307895)
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Keywords | 心房細動 / 肺静脈 / 容量負荷 / 左心房 |
Research Abstract |
左心房容量負荷に伴う肺静脈の電気生理学的特性の変化を検討した。左房容量負荷モデルとして、人工血管を用いた左鎖骨下動脈肺動脈短絡術を行った。雑種成犬を対象として本実験モデルを作成した。全頭において著明な左房拡大と進行性のうっ血性心不全がみられた。一部の動物は、高度の肺うっ血のために実験モデル作製1-2週後に死亡した。他の耐術動物においては、進行性の左房・肺静脈拡大にもかかわらず心不全は代償され4週以上の生存が可能であった。 鎖骨下動脈肺動脈短絡作成後4週で肺静脈の伝導速度の測定を行った。肺静脈伝導速度の測定には特別にデザインした多極電極を使用した。肺静脈だけでなく、肺静脈左房移行部の電位も記録するように電極を作製した。電極を肺静脈抹消より肺静脈-左房内に挿入し、肺静脈ペーシング中の肺静脈伝導速度を測定した。ペーシング刺激は挿入した電極から行った。各肺静脈で伝導速度を測定した。各肺動脈の径を測定するとともに実験終了後に肺静脈内の心房筋の進展(sleeve)の程度を病理学的に計測した。 肺静脈拡大に伴って、肺静脈短軸方向での伝導速度の低下が認められた。長軸方向での伝導速度の変化にはばらつきがあり一定の傾向は見られなかった。病理学的にも、鎖骨下動脈肺動脈短絡に伴って肺静脈単軸方向に心房筋が薄くなり、一部には線維化を伴っていた。これが伝導速度低下の原因と考えられた。 2点間の伝導速度は局所興奮時間の差を距離で除することによって測定される。したがって、拡大による伝導速度の低下が距離の増大によるものか心房筋の組織学的変化によるものかはさらに検討を必要とする。摘出心房筋の灌流モデルでの計測が必要であると考えた。
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