2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591420
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
大谷 肇 関西医科大学, 医学部, 助教授 (60168979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 智彦 関西医科大学, 医学部, 助手 (00319625)
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Keywords | 心筋保護 / 再潅流障害 / Dystrophin / ミトコンドリア / Ischemic preconditioning |
Research Abstract |
心筋細胞に特異的に発現し、収縮に伴う機械的ストレスから細胞膜を保護する働きを有するDystrophinに着目し、虚血や再潅流に伴う心筋細胞死の特徴である収縮帯壊死の成因解明とその予防を目的として研究を行った。Dystrophinは虚血中に細胞膜から細胞骨格分画に移動し、さらに再潅流時には分解され消失した。この変化は同様な働きをする他の膜タンパクや細胞骨格タンパクにはみられず、Dystrophinに特徴的な生化学的変化と考えられた。次に、ischemic preconditioning(IPC)の心筋保護効果におけるDystrophinの役割について検討した。IPCは虚血中の膜Dystrophinの減少を抑制しなかったが、再潅流時にミトコンドリア膜電位の回復と心筋ATP含量の増加に伴って膜Dystrophinの回復を促進した。この効果はミトコンドリアの脱共役剤であるDinitrophenolおよびミトコンドリアF1F0-ATPase阻害剤であるOligomycinによって抑制された。単離ミトコンドリアを用いたin vitroの実験では、IPCを行なった虚血心筋由来ミトコンドリアは非可溶成分画から可溶成分画へのDystrophinの移行をDinitrophenolおよびOligomycic感受性に促進した。一方、再潅流時にEvans blue色素を用いて同定した細胞壊死は細胞膜Dystrophinが消失した心筋細胞において認められた。この心筋壊死は再潅流時に心筋収縮抑制剤2,3-butanedione monoxime(BDM)を用いることによって抑制されたが、BDM除去後収縮再開によって細胞膜Dystrophinが消失した心筋細胞においてEvans blueの取り込みがみられた。IPCは再潅流後膜Dystrophinを回復させるとともに心筋壊死を有意に抑制した。また、IPC施行心において再潅流時BDMを用いて一過性に収縮を抑制するとIPCの心筋保護効果はさらに増強された。以上の結果から、細胞膜Dystrophinの消失は再潅流障害の成因として重要であり、再潅流における細胞膜Dystrophinの回復はIPCによる心筋保護効果の最終標的であると考えられた。また、IPCのごとくミトコンドリアの機能温存をもたらす心筋保護的処置と再潅流時に一過性収縮抑制を併用することによって再潅流障害が著明に軽減されることが示唆された。
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Research Products
(2 results)