2005 Fiscal Year Annual Research Report
心臓手術における虚血再潅流障害とPARP阻害薬の心筋保護効果についての研究
Project/Area Number |
16591421
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
西脇 登 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (70319739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 幸三 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (40340830)
米田 正始 京都大学, 医学研究科, 教授 (20303810)
佐地 嘉章 京都大学, 医学研究科, 助手 (00399776)
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Keywords | 心筋保護液 / PARP阻害薬 / 虚血再灌流障害 / 酸化ストレス / 8-OHdG |
Research Abstract |
心臓外科手術において、大動脈遮断解除後の心筋虚血再灌流障害は、患者の予後を左右する大きな問題である。再灌流障害によるDNA損傷の修復に必要なエネルギーをコントロールする事を目的として、PARP阻害薬を投与する事により有効な心筋保護法を確立する事を目標として実験研究を行った。 研究方法であるが、ラット摘出心にて、Krebs-Henseleit液によるLangendorff灌流を行い、従来から使用されていた心筋保護液のSt.Thomas液にて90分間心停止させたコントロール群と、St.Thomas液に100μM及び10μM PARP阻害薬を添加し投与したPARP阻害薬添加群に分け、再灌流時の、心機能、心筋逸脱酵素を測定した。再灌流後心筋標本を採取し、酸化ストレス・マーカーである8-OHdG及び心筋内NAD^+値を測定し、酸化障害の程度、核ならび細胞の傷害を形態的かつ計量的に評価した。 コントロール群に比較してPARP阻害薬(3-aminobenzamide)添加群は、再灌流後20分のdP/dT値は有意に高値であり、再灌流後の有意な心機能回復を示した。また、心筋逸脱酵素(CPK, GOT)の値は有意に低値であった。心筋内NAD^+値は、有意に高値であった。さらに酸化ストレス指標である8-OHdG indexは有意に低かった。(8-OHdG index; 36.3±35.4^* vs. 22.5±14.4^* vs. 91.2±111.7, ^*p<0.05 vs. Control). 以上より、PARP阻害薬をSt.Thomas液に加える事により、DNA修復に要するエネルギー消費を軽減し、結果として、再灌流時の酸化ストレスを軽減しうる事を証明すると同時に、さらに有効な心筋保護法となり得る事を示した。
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