2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤感受性解析に基づく抗腫瘍薬・耐性克服薬併用による脳腫瘍個別化治療の確立
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16591426
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
笹嶋 寿郎 秋田大学, 医学部, 講師 (40235289)
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Keywords | 悪性脳腫瘍 / ^<99m>Tc-MIBI / ^3H-ビンクリスチン / 三重標識組織放射能測定法 / MTT assay / 薬剤耐性 / 増殖能 |
Research Abstract |
今年度は悪性腫瘍細胞の野生株および抗腫瘍薬耐性株において耐性克服薬による抗腫瘍薬の治療効果増強を判定し,^<99m>Tc-MIBIを用いて耐性克服薬による獲得耐性の変化を評価し^<99m>Tc-MIBIの獲得耐性モニタリングにおける妥当性について検討した. ラットグリオーマ由来のC6およびRG2細胞株,ラット乳癌細胞由来のWalker256細胞株におけるビンクリスチン(VCR)耐性腫瘍細胞株は1ng/mlのVCR添加MEMで継代培養することにより樹立され,各細胞株における耐性獲得はMTT assayで評価した.各細胞株における^<99m>Tc-MIBIおよび^3H-VCR集積,増殖能は三重標識組織放射能測定法で解析した. 各腫瘍細胞におけるVCR耐性株のsurviving fractionは各野生株と比較して有意に増加し,各耐性株における^<99m>Tc-MIBIおよび3H-VCR集積量(Vd)は野生株と比較して有意に低下した(p<0.01).各耐性株において第二世代の耐性克服薬(MS209,PSC833)を1μMの最終濃度で3日間作用させた後のMTT assayではsurviving fractionはいずれも有意に低下した.各耐性克服薬を1μMの最終濃度で1時間作用させた後の^<99m>Tc-MIBIおよび^3H-VCRの集積量は克服薬投与前と比較して有意に増加した(p<0.01).今回検討した第二世代の耐性克服薬は低用量(1μM)で,第一世代の克服薬(ベラパミル,シクロスポリン,FK506)の中で克服効果が最大であったシクロスポリンの最終濃度(5μM)と同等の克服効果が確認され,脳腫瘍モデルにおける治療効果増強が期待される、また,各細胞株において^<99m>Tc-MIBIと^3H-VCRの集積量はいずれの条件下でも正の相関を示し,^<99m>Tc-MIBIは化学療法における多剤耐性モニタリングに有用なトレーサとして期待される.
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