2004 Fiscal Year Annual Research Report
術中の側頭葉内側部分切除または離断による皮質脳波変化の検討-側頭葉内側のてんかん原理ユニットの解明と新しい機能温存的治療法の開発へ向けて-
Project/Area Number |
16591431
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川合 謙介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70260924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 恭輔 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80372374)
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Keywords | 難治性てんかん / 側頭葉てんかん / 術中皮質脳波 / 海馬 / 機能温存的治療 |
Research Abstract |
本研究は、側頭葉てんかんに対して行われる内側側頭葉切除術において、海馬および海馬傍回から詳細に皮質脳波を記録しながら、これらの構造物に対し様々な選択的切除や離断を加えることにより、てんかん性発射に必要な構造物と神経回路を明らかにし、側頭葉内側のてんかん性発射の発生機構を解明することを目的とする。更に、得られた知見に基づき、側頭葉内側のてんかん原性を抑制するのに必要な最小限の切除または離断方法を決定し、より低侵襲な機能温存的治療法の開発に繋げることを目的とする。 本研究開始後、平成17年2月までに11例の側頭葉てんかん患者に対して、術中脳波を測定しながら、手術を行った。術式として、萎縮の明らかな海馬に対しては切除術を行い(4例)、萎縮のない海馬に対しては術中脳波に基づいて、新しい機能温存的手術法である海馬多切術(6例)を加えた。残りの1例は、外側病変切除後に海馬からのてんかん性異常波を認めなかったため、病変切除にとどめた。 これまでに得られた知見としては以下の通りである。 (1)治療開始前に海馬と側頭葉底部(紡錘回・下側頭回)から同時脳波を記録した結果、両者同期して出現する棘波、各々から独立して出現する棘波が認められた。これは側頭茎離断による影響は受けない。 (2)海馬外側の広汎な離断により、同期性棘波は消失するが、元々独立した棘波がある場合、各々に残存棘波がみられる。このような場合には各々にてんかん原性が存在する可能性が示唆される。 (3)海馬采は温存したまま、海馬長軸に垂直に離断を加える(海馬多切術)と、海馬の棘波は消失する。ただし、内側〜外側に完全な離断が行われていない場合は棘波が残存しやすい。
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Research Products
(1 results)