2004 Fiscal Year Annual Research Report
タイプII代謝型グルタミン酸受容体刺激による脳保護効果の検討
Project/Area Number |
16591436
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
杉田 正夫 山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (70235886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 和弘 山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (00260571)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / 代謝調節型受容体 / 脳梗塞 / マイクロダイアリシス / バイオセンサー / DCG-IV / ラット / アゴニスト |
Research Abstract |
脳虚血に際しグルタミン酸が増加して、脳梗塞の悪化に関与する。NMDA受容体遮断薬は、実験的脳梗塞には有効性が確認されているが、いまだ実用的なものはない。我々は、別型のグルタミン酸受容体である代謝調節型受容体(mGluR)が脳虚血にどのように作用するかを明らかにするためにアゴニストを用いて検討を行った。 【方法】ラット中大脳動脈閉塞による局所脳虚血による脳梗塞モデルを用いて実験を施行した。レーザー脳血流計にて脳血流をモニターし、虚血部位と程度を確認したうえで、mGluRアゴニストであるDCG-IV投与による脳組織中グルタミン酸をバイオセンサー装置(EES-800)によりリアルタイムに測定した。中大脳動脈閉塞+vehicle(生食)投与群と中大脳動脈閉塞+DCG-IV(10ug/kg.i.v)投与群の2群に施行し、経時的な脳血流量の変化および脳虚血組織でのグルタミン酸濃度の変化を測定した。その後、虚血1時間で血流再開としてその際にも脳血流、グルタミン酸の変化を計測し、再開通後2時間でラットを断頭し脳を摘出、TTCにて脳梗塞体積を測定した。 【結果および考察】脳虚血導入に伴いグルタミン酸濃度は上昇し、約30分で定常化した。DCG-IV投与によるグルタミン酸濃度上昇の有意差は現時点では認められていない。また、脳梗塞体積にも有意差は認められなかった。これまで当施設では、還流液にDCG-IVを混入して投与したマイクロダイアリシスの実験では、グルタミン酸上昇が抑制されたが、この実験では、静脈内投与におけるDCG-IVの有効容量や至適投与量が未知であり、脳組織への移行が十分でない可能性があり、mGluRアゴニストとして十分に作用していないのではないかと考えられる。また、バイオセンサーは微弱電圧変化によって測定する方法であるため、計測中の変動が大きく、微妙な変化を捕らえきれていないことも考えられる。今後、これらの問題を解決しつつ、実験を遂行する予定である。
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