2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞移植による側頭葉てんかん治療の可能性の検討
Project/Area Number |
16591439
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
鈴木 文夫 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80171247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 清 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (40215083)
道端 英雄 田辺製薬株式会社, 先端医学研究所, 研究員
門田 奈依 田辺製薬株式会社, 先端医学研究所, 研究員
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Keywords | 神経移植 / てんかん治療 / 神経幹細胞 / マウス側頭葉てんかんモデル / 脳波 |
Research Abstract |
側頭葉てんかんにおいては、海馬歯状回門部を中心とした抑制系神経細胞の脱落がてんかん病態進行の主要な一因とされる。この減少した神経細胞を移植で補うことにより、その病態の進行を抑制できるのではないかと期待し研究を行った。 マウス側頭葉てんかんモデルの海馬内に共同研究者である、道端らより供与されたGFP標識神経幹細胞(NSC)を移植し、その生着について検討した。移植後早期では生着細胞がみられたが、急速に減少し、移植後4週ではごく少数のGFP陽性細胞が生存しか認められなかった。加えてこれら生着細胞は神経細胞ではなくアストログリアに分化していた。 次いで同様にマウス海馬内に黒川により調整されたマウス骨髄由来の間葉系細胞(BMSC)を培養後移植したが、やはり同様に長期の生着は得られなかった。細胞生着がなくともこれら移植による液性因子により、形態学的な進行が影響を受けることも期待されたが、てんかんに特徴的な苔上線維の神経萌芽や顆粒細胞分散について対照と比べ明らかな差は認められなかった。脳波による検討も試行したが、てんかん性異常波についても対照との間に差は認められなかった。 次に生着率、分化能ともに最も優れていることが期待される胎児脳組織の移植を試みた。胎生19-20日目の脳組織より海馬を取り出し、てんかんマウス海馬内に移植した。生着はよく、移植後4-6週では神経細胞の形態を示す移植細胞が多数認められた。ただし、生着細胞の多くは髄液腔に近い領域に集族していた。脳波結果の詳細な解析はまだ行っていないが、明らかなてんかん抑制効果は認められていない。 今後はこの胎児脳移植をより適切な部位に行い、長期の観察、脳波による検討を行っていく予定である。また平行してNSC生着の効率を上げるため、BMSCとの共培養や、BMSC, NSCを2相性に移植するなど至適移植条件の検討も行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)