2005 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷に対する再生治療-胚性幹(ES)細胞を用いた基礎的研究
Project/Area Number |
16591455
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中瀬 裕之 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10217739)
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Keywords | 精髄損傷 / 再生治療 / 胚性幹細胞 / 脊髄血流 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「脊髄損傷に対する再生治療において、移植材料としての胚性幹(ES)細胞の有用性の確立」である。平成17年度は、マウスES細胞をin vitroで神経幹細胞に分化誘導し、この細胞群を脊髄損傷マウスに移植を行い、神経学的症状の変化と、移植細胞の生着を組織学的に評価して治療効果を検討した。 ES細胞としては129/SvJマウス由来のGFP標識ES細胞を用いた。胚様体形成および神経系細胞分化に高い選択性を有する多段階培養により、ES細胞をnestin陽性に分化誘導しこれを移植細胞とした。Th10の椎弓切除を施した8-10週齢129/SvJマウスに対して、硬膜は温存したまま硬膜上からpneumatic impact deviceを用いて40psiの力で圧迫を加え、脊髄損傷マウスを作成した。損傷後、経時的に神経行動学的観察を行った。脊髄損傷10日後の亜急性期に再度創を開き空洞化した脊髄損傷部位に準備した培養細胞を移植した。結果、移植に供した培養細胞をRT-PCR法で検討すると、 nestinおよびmap2のいずれのmRNA発現も確認できた。免疫蛍光染色では、培養細胞のうち約60%がnestin陽性細胞、約30%がmap2陽性細胞であった。細胞移植群のマウスでは非移植群に比べて、神経行動学的症状の改善が認められた。さらに、組織学的検索では、脊髄損傷部位においてはGFP陽性、すなわちES由来細胞の生着が認められた。 ES由来神経幹細胞の移植により神経学的症状の改善が得られたことから、ES細胞は脊髄損傷の移植治療におけるdonor細胞源として有望であると考えられた。
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Research Products
(6 results)