2004 Fiscal Year Annual Research Report
腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛発現のメカニズムの解明と新たな治療法の開発
Project/Area Number |
16591502
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
矢吹 省司 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00260779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 臣一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80045773)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 椎間板ヘルニア / 坐骨神経痛 / 神経根障害 |
Research Abstract |
【目的】椎間板ヘルニアモデルを用いて、brain-derived neurotrophic factor(BDNF)の発現に対するinfliximab(キメラモノクロナールTNF-alpha抗体)の効果を検討した。 【対象と方法】SDラットを用いて、椎間板髄核を神経根上に設置することでヘルニアモデルを作成した。Infliximabを、モデル作成当日またはモデル作成翌日に投与して、BDNFの発現を後根神経節(DRG)と脊髄で観察した。 【結果】BDNFは、シャム群に比してヘルニアモデルでは有意に多く、DRGと脊髄表層で発現していた。Infliximabを、モデル作成当日に投与した群、モデル作成翌日に投与した群ともに、DRGと脊髄表層でBDNFの発現は減少していた。 【考察】痛みの指標として、Neurotrophin familyの一つで、二次ニューロンレベルでその痛みの統合、修飾に重要な役割を果たしていると報告されているBDNFを用いた。BDNFは、末梢神経知覚線維においてその障害により惹起されるnerve growth factor(NGF)の誘導に伴い、著しく後根神経節内に生合成されることが知られている。また、脊髄に逆行性に軸索輸送されたBDNFはc-Fos蛋白の誘導、NMDA receptorとNaチャンネルの活性化を惹起すること、そして疼痛関連行動に密接に相関することが報告されている。このような特徴を有するBDNFがinfliximabによって、その発現が減少したという本研究の結果は、infliximabが椎間板ヘルニアによる神経根性疼痛に対して治療法のひとつとなり得る可能性を示していると思われる。
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