2005 Fiscal Year Annual Research Report
腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛発現のメカニズムの解明と新たな治療法の開発
Project/Area Number |
16591502
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Research Institution | Fukushima Medical University School of Medicine |
Principal Investigator |
矢吹 省司 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00260779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 臣一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80045773)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 椎間板ヘルニア / 坐骨陣形痛 / 神経根障害 |
Research Abstract |
【目的】末梢神経においては、nerve growth factor(NGF)の発現が、炎症性の知覚過敏や神経因性疼痛を惹起する重要な因子であると考えられている。しかし、椎間板ヘルニアにおいて、疼痛関連行動との関係で後根神経節のNGFを定量的に明らかにした研究はなかった。本研究の目的は、椎間板ヘルニアモデルを用いて、NGFの値と疼痛関連行動の関係を明らかにすることである。 【対象と方法】SDラットを用いて、4つの群を作成した。すなわち、1)L4/5椎間板穿刺群、2)L4神経根/後根神経節偏位群、3)椎間板穿刺+神経根/後根神経節偏位合併群、4)シャム群の4群である。これら4群における、後根神経節のNGF含有量と術後の疼痛関連行動を術後21日まで計測した。 【結果】1)群では、術後3日でNGFの発現がみられたが、疼痛関連行動はみられなかった。2)群では、術後1日でNGFの発現、術後3日で疼痛関連行動がみられた(P<0.05)。3)群では、術後7日にわたって、より顕著なNGFの発現と疼痛関連行動がみられた(P<0.05)。 【結語】以上の結果は、NGF値の上昇が、部分的に疼痛関連行動と関連している可能性を示していると思われる。そして3)群が、最も臨床における椎間板ヘルニアと近い病態を示しているのではないかと思われた。これらのモデルを用いることで、椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛のメカニズムの解明に近づくことができると思われる。
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