2005 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞刺激因子を導入した幹細胞による骨粗鬆症遺伝子治療モデルの開発
Project/Area Number |
16591507
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
辻村 敦 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (50236890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 保 (後藤 保) 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (00237942)
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (20178031)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 幹細胞 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
骨粗鬆症は、食生活、運動量などの生活習慣、加齢に伴うホルモンバランスの変化、遺伝的背景などの要因が複雑に作用し、骨代謝の担い手である骨芽細胞と破骨細胞の細胞数、活性のバランスが骨吸収へと傾斜することにより、骨量の減少を引き起こした状態である。骨粗鬆症治療は、破骨細胞の活性抑制、骨芽細胞の活性促進作用を持つ薬剤を投与することにより、骨代謝のバランスを回復させるものが主流であるが、その背景にある病因を治療するものではないため、結局は病的なアンバランス状態へと戻ってしまう現象がみられる。そこで、より積極的な治療方法として、再生医療で有効性が確立しつつある幹細胞移植と、骨芽細胞刺激因子遺伝子を組み合わせた、遺伝子-細胞移植による骨粗鬆症治療のモデル開発が本研究の目的である。 骨芽細胞刺激因子1(Osteoblast Stimulation Factor-1, OSF1)は、骨芽細胞の分化初期から中期にかけて特異的に強く発現し、骨芽細胞の分化、増殖、動員の3つの面から同所的骨形成を促進する因子である。遺伝子導入済みの幹細胞の供給源として、移植マーカーのGFPと共発現するOSF1遺伝子を導入したトランスジェニックマウス(Tg)を作製し、脛骨のマイクロCT3次元形態解析を行ったところ、Tgマウスでは骨梁数が増加し、カルバリア由来初代培養骨芽細胞でもALP活性の上昇、Ca沈着量の増加など、骨形成能が増強されていた。Tgマウス大腿骨由来の間葉系幹細胞を培養し、骨誘導実験を行うと、BMP2の添加により骨形成能が顕著に増加した。しかしOSF1を大過剰量発現する細胞では、BMP2による促進作用を阻害し、OSF1の骨形成促進作用には最適な発現量を設定する必要性が示された。また、間葉系幹細胞をトリプシン処理により継代し、増殖培地で培養せず、直接骨誘導培地で培養すると、骨形成能が著しく阻害される現象がみられた。増殖培地での前培養時に骨形成の足場となる因子が蓄積し、誘導開始後に合成される因子と協調して骨形成が促進されると考えられる。この因子を特定することにより、より効率的な骨形成が達成されると考えられる。
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