2006 Fiscal Year Annual Research Report
腰部神経根性疼痛に対するシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤の役割について
Project/Area Number |
16591509
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
橋爪 洋 和歌山県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10326382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 守 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (20195051)
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Keywords | 椎間板ヘルニア / 神経因性疼痛 / 動物モデル |
Research Abstract |
【目的】腰部神経根性疼痛に対するシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤の役割について研究を進める中で、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根の炎症を惹起する生理活性物質の一つとして,セロトニン(以下5-HT)に着目し,髄核留置による椎間板ヘルニアモデルの神経因性疼痛に対する5-HT_<2A>受容体拮抗薬の塩酸サルポグレラート(以下SPG)の効果を検討した.【方法】SDラット20匹に部分椎弓切除を行い,露出した左L4,5神経根上に切断尾椎より採取した髄核組織(4mg)を留置した.処置後のラットはSPG投与(100mg/kg)群(n=10)と溶媒対象群(n=10)に分けて,術後7日目から8日間SPGまたは溶媒を1日1回反復投与した.薬効評価は投与後1,5,8日目にvon Freyフィラメントによる足底刺激に対するアロディニアの観察をブラインド下に行い両群を比較した.全ての行動評価終了後には左右両側の神経根と後根神経節を摘出し,5-HTと代謝物の5-HIAA含有量を測定した.【結果】処置後のラットは全例,経過中に左足部の麻痺を認めなかった.投与1日目はSPGの効果は明確でなかったが,5日目はSPG投与後90分と120分の時点でアロディニアが溶媒群に比して有意に抑制された,8日目には,投与前の時点で既にSPG群でアロディニアが軽減している傾向がみられた.後根神経節の5-HTと5-HIAAはいずれの群においても患側と対側の間で有意差を認めなかった.【考察】髄核による神経因性疼痛に5-HTが関与することが判明した.椎間板ヘルニアによる根性疼痛には5-HT2A受容体拮抗薬が有効で、その作用部位は後根神経節以外の可能性がある.5-HT2A受容体拮抗薬はCOX阻害剤に代わる新しい作用機序の椎間板ヘルニア治療薬となる可能性がある。
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Research Products
(2 results)