2005 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛下におけるモルヒネ依存不形成に及ぼす脊髄・脳内プロテインキナーゼCの役割
Project/Area Number |
16591530
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山崎 光章 富山大学, 医学部, 教授 (70158145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 利佳 富山大学, 医学部, 助手 (10345572)
成田 年 星薬科大学, 薬学部, 助教授 (40318613)
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Keywords | chronic pain / nerve injury / spinal cord / protein kinase C / opioid / neuropahic pain / astrocyte |
Research Abstract |
昨年度はプロテインキナーゼC(PKC)のモルヒネ依存不形成に及ぼす影響について検討した。本年度は、さらに慢性疼痛に対する脊髄・脳内オピオイド受容体について検討した。 1,マウス神経因性疼痛モデル作成後、PKCなどを介して生ずるリン酸化されたμオピオイド受容体の免疫活性について検討した。 坐骨神経結紮後、モルヒネの鎮痛作用が抑制された状況下において、脊髄後角L5レベルでのlaminaeにおいてリン酸化されたμオピオイド受容体の免疫活性が増加した。 この結果より、脊髄のμオピオイドのリン酸化はモルヒネによる疼痛抑制効果の減弱に関与していることが考えられた。 2,慢性疼痛による不安感受性の亢進と脳内神経系の変化について検討した。 方法は、神経因性疼痛モデル作成後、熱痛覚過敏反応、機械的アロディニアの測定、明暗試験、高架式十字迷路試験、GTPγS binding assay,免疫染色法によって行った。 結果、 (1)神経因性疼痛マウスにおいて不安感受性の亢進が認められた。 (2)前頭前野においてδオピオイドおよび5-TH受容体機能の減弱が認められた。扁桃体ではμおよびδオピオイド受容体機能の減弱が認められた。 (3)帯状回表層の免疫染色においてアストロサイトの活性が増強した。 (4)δオピオイド拮抗薬であるNTIにより帯状回表層のアストロサイトの活性が増強した。 (5)NTIを脳室内投与したマウスでは優位な不安感受性亢進が認められた。 (6)培養アストロサイト上清を帯状回領域にmicroinjectionしたところ、不安感受性の亢進が認められた。 以上より、神経因性疼痛時には、オピオイド神経系、5-HT神経系の変化が生じ、特にδオピオイド受容体を介するシグナル伝達の低下によりアストロサイトが活性化し、不安感受性の亢進を引き起こしていることが示唆された。
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