2006 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛下におけるモルヒネ依存不形成に及ぼす脊髄・脳内プロテインキナーゼCの役割
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16591530
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山崎 光章 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (70158145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 利佳 富山大学, 助手 (10345572)
成田 年 星薬科大学, 薬学部, 助教授 (40318613)
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Keywords | chronic pain / nerve injury / neuropathic pain / anxiiety / opioid / amygdala / light-dark test |
Research Abstract |
これまでに、脳内でのPKCの活性化が神経因性疼痛の発生に重要な役割を果たしていることを明らかにしてきたが、同時に、神経因性疼痛時には、オピオイド神経系に変化が生じ、アストロサイトの活性化を伴う不安感受性の亢進が生じていることも昨年度は明らかにした。 本年度は、この神経因性疼痛による不安感受性の亢進と脳内神経系の変化について慢性疼痛モデルを用いて、より詳細に検討し、さらに慢性疼痛に対する各種抗うつ薬、抗不安薬投与による治療効果について検討した。 1,坐骨神経半周結紮または非結紮後4週間観察可能な、マウス慢性疼痛モデルを作成した。このマウスに、imipramine, milnacipran, paroxetine, etizolamを投与し、4週間後に熱痛覚過敏反応、アロディニア反応などを観察した。結果、神経因性疼痛に対して、imipramine、milnacipran,、paroxetine投与が鎮痛作用を持つことを動物実験において初めて明らかにした。一方、etizolamでは鎮痛作用が認められなかった。 2,坐骨神経半周結紮または非結紮後4週間後の前頭前野および扁桃体よりそれぞれ得られた膜標本を用いて、5-HT処置による[^<35>S]GTP_γS結合量(Gタンパク質活性)を測定した。結果、神経因性疼痛時には、前頭前野および扁桃体におけるセロトニン受容体機能が低下していることが判明した。 以上から、臨床的に、神経因性疼痛時に抗うつ薬を投与する意義が見いだされた。同時に、その作用機序として前頭前野、扁桃体におけるセロトニン受容体機能低下の関与していることが示唆された。 今後、慢性疼痛において痛みの認知や情動の変容を引き起こす上位中枢の生理学的変化を、神経ネットワークや細胞間相互作用、細胞の再生・分化などを検討することによって、明らかにするよう研究を進めたい。
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