2004 Fiscal Year Annual Research Report
マラソン型重畳呼吸式人工呼吸法の肺酸素化効率と肺保護効果の検討
Project/Area Number |
16591539
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡崎 直人 国立大学法人 鳥取大学, 医学部, 助手 (30032204)
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Keywords | 人工呼吸法 / マラソン式重畳呼吸 / 換気効率 / 肺障害 |
Research Abstract |
吸気・呼気相ともに2段階に設定でき、さらにそれら4層の間に任意のポーズ期がそれぞれ設定できる電磁弁制御式の簡易型呼吸器を作成した。その体様は、吸気相については2段階の圧力に設定した圧縮空気を送ることで、呼気相は異なった2段階のPEEPを設けることで対応した気道内圧波形が二つの台形をピラミッド形に重ねた形となる装置である。これによって吸気あるいは呼気時の急激な圧変化(shear-stress)による物理的傷害を軽減することができるはずである。 ウサギを使った実験では、結果的には、換気パターンの設定が多岐にわたって可能なことから種々無作為パターンで試みた予備実験に留まっている。これらの中から適当な条件を選択し、従来法と比較する予定であるが、装置作動時の血液ガス値から見たその内容は、血中酸素濃度は空気吸入時で80mmHg前値と若干低いものの炭酸ガスの排除については問題なく、normo-ventilationが保たれた。また、換気量は定量が難しく、全くPEEPを掛けない状態で6〜8ml(50回/分。水中置換法による確認)であるが、モニターした気道内圧を観察すると呼気終末時の圧が高く、auto-PEEPの状態であった。これは装置として利用した小型サイズの電磁弁により呼気抵抗が生じたものと思われるが、マラソン型呼吸は横隔膜を高位置に保ちながら頻回呼吸している状態であることを考慮すると該装置による呼吸法はマラソン式呼吸に相応しているものと思われる。 長期陽圧式人工呼吸が横隔膜の疲労をもたらし、ひいては呼吸器離脱時の呼吸機能低下を惹起するとされる最近の知見があるが、該観点に対しても現在までの結果からマラソン型重畳式人工呼吸法の有用性は認められることから次年度に引き続き体系化して検討する予定である。
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