2005 Fiscal Year Annual Research Report
マラソン型重畳呼吸式人工呼吸法の肺酸素化効率と肺保護効果の検討
Project/Area Number |
16591539
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡崎 直人 鳥取大学, 医学部, 助手 (30032204)
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Keywords | 重畳式呼吸法 / 換気効率 / 気道内圧 / 血液ガス分析 / 換気量 |
Research Abstract |
重畳式呼吸法とは、マラソン競技で利用される吸気相と呼気相の間に停止期を設けた二段呼吸法(吸気、停止、吸気、停止、呼気、停止、呼気を繰り返す)と定義する。 重畳式呼吸装置は、ピストン型人工呼吸器に信号発生装置を設け、タイマーと電磁弁を作動させ吸気・呼気相を分割する方法とした。 ウサギの場合、重畳式呼吸法で適正換気を得やすい呼吸回数は約30回1分であった。 時間配分は、吸気開始時より0.3秒間の吹送、0.2秒の停止期、0.3秒間の吹送、0.2秒間の保持、0.3秒間自然呼出、0.2秒の停止期、0.3秒間の呼出・脱気期である。麻酔・筋弛緩剤で自発呼吸を抑えたウサギ(n=9)に対し、一回換気量8ml/kgで換気する従来型人工呼吸法群(NV群)と重畳式呼吸法群(MV群)との間で血圧、心拍数、動脈血ガス分析値、気道内圧、換気量を比較した。両群の血液ガス測定値はPaCO-2(NV:38.5±1.8mmHg、MV:39.8±2.2mmHg)、pH(NV:7.399±0.024、MV:7.389±0.026)およびPaO-2(NV:76.2±5.1mmHg、MV:78.5±3.4mmHg)であった。この同等な換気状態のもとで一回換気量はNV群(8±0ml/kg)に対してMV群では5.8±1.0ml/kgと有意に少なく、同様に分時換気量(NV:608±89ml、MV:425±72ml)、ピーク気道内圧(N:11.2±2.2cmH_2O、MV:9.3±1.5cmH_2O)、平均気道内圧(NV:4.16±0.81cmH_2O、MV:3.83±0.54cmH_2O)と換気パラメータ値に有意な差が認められた。 モニターした気道内圧波形は吸気相停止期に一度低下し、呼気相停止期には逆に上昇しており、各停止期に肺胞で換気ガスの再分配現象が観察された。該呼吸法は少ない換気量でも適正な換気状態が確保できる。
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