2006 Fiscal Year Annual Research Report
非障害性短時間脊髄虚血後モルヒネ誘発痙性対麻痺の発生機序に関する分子生物学的検討
Project/Area Number |
16591551
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
垣花 学 琉球大学, 医学部, 助教授 (20274897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 年 星薬科大学, 薬学部, 助教授 (40318613)
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Keywords | オピオイド / 大動脈手術 / 対麻痺 |
Research Abstract |
ラット大動脈遮断による脊髄虚血モデルを用い、脊髄虚血後のオピオイド誘発痙性対麻痺におよぼすオピオイド受容体サブタイプの影響に関する研究を行った。使用するオピオイドサブタイプは、μアゴニストとしてDAMGO、κアゴニストとしてU50488H、そしてδアゴニストとしてDPDPEを用いた。それぞれの薬物を、6分間脊髄虚血後にこも膜下腔内に投与し、その後の下肢運動機能への影響を経時的に観察した。その結果、6分間脊髄虚血後にDAMGOおよびDPDPEを投与すると下肢運動機能が悪化したが、一方U50488Hではその効果は認められなかった。脊髄病理組織学的評価では、脊髄前角細胞の暗染化(Dark-staining)がいくつかの細胞に認められた。このことから、脊髄虚血後のオピオイド痙性対麻痺の発生には、脊髄オピオイド受容体サブタイプのμ受容体とδ受容体が関与し、κ受容体は関与しないことが明らかとなった。 さらに、脊髄虚血後のオピオイド誘発痙性対麻痺におよぼす増悪因子を検討する目的で、オピオイドによる鎮痛効果を増強するカリウムATPチャンネル開口薬であるニコランジルの影響を検討した。脊髄虚血は6分間とし、その後くも膜下腔内にモルヒネならびにニコランジルを同時投与し、下肢運動機能への影響を検討した。その結果、オピオイド誘発対麻痺は脊髄内でカリウムATPチャンネル開口薬であるニコランジルにより増強され、それはカリウムATPチャンネル阻害薬であるグリベンクラミドにより抑制されることが明らかとなった。このことから、オピオイド誘発痙性対麻痺では、カリウムATPチャンネルの開口がそれを増強することが示唆された。
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Research Products
(4 results)