2004 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮・血管平滑筋における容量性カルシウム流入に対する揮発性麻酔薬の影響
Project/Area Number |
16591558
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
水本 一弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50239258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑埜 義雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70115913)
|
Keywords | 血管内皮 / 血管平滑筋 / 容量性カルシウム流入 / 揮発性麻酔薬 |
Research Abstract |
本年度(平成16年度)は、血管内皮細胞における容量性カルシウム流入に対する揮発性麻酔薬の影響を検討した。 カバーグラス上に定着させたウシ大動脈由来培養血管内皮細胞をFura-2でインキュベートした後、密閉性の高いclosed chamberに装着した。Ca^<2+>freeのHEPES-bufferにて潅流し、Thapsigargin10^<-7>Mを適用して小胞体内Ca^<2+>を枯渇させた。潅流液中のCa^<2+>濃度を2.2mMに上昇させることにより容量性Ca^<2+>流入を引き起こした。Ca^<2+>freeのHEPES-bufferとCa^<2+>2.2mMのHEPES-bufferを交互に還流させることにより、再現性のある容量性Ca^<2+>流入が得られた。 1)揮発性麻酔薬の影響 ハロタンおよびセボフルランをそれぞれ2MACの濃度で適用することにより、容量性Ca^<2+>流入は有意に抑制された。(ハロタン;コントロールの70%、セボフルラン;コントロールの90%) 2)PKC阻害薬の影響 容量性Ca^<2+>流入の調節に関与していると考えられているProtein kinase Cの阻害薬であるBIS-1 3x10-6 Mの前適用により、容量性Ca^<2+>流入に対するハロタンの抑制作用は有意に拮抗された。一方、セボフルランの抑制作用に対しては、BIS-1は影響しなかった。 以上の結果より、揮発性麻酔薬は、血管内皮細胞における容量性Ca^<2+>流入を抑制し、その作用は、一部Protein kinase Cを介したものであるのことが示唆された。 平成17年度は、tyrosine kinase, Rho kinaseの関与を検討し、さらに、血管平滑筋細胞での検討を行う予定である。
|