2005 Fiscal Year Annual Research Report
大脳基底核におけるシナプス可塑性と虚血耐性に対する吸入麻酔薬の影響に関する研究
Project/Area Number |
16591563
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
西村 欣也 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80164581)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蕨 謙吾 順天堂大学, 医学部, 講師 (30311989)
|
Keywords | 吸入麻酔薬 / GABA受容体 / 虚血耐性 / bicuculline |
Research Abstract |
吸入麻酔薬による脳保護効果はヒトではまだ臨床応用されていないものの,齧歯類をはじめ様々な動物を用いた実験ではある程度の神経学的予後の改善が観察されている.今回我々はPatch-clamp法を用いた神経細胞の静止膜電位変化から虚血プレコンディショニングに対する吸入麻酔薬の効果に関するGABA受容体との関係を検討した.方法として,マウスに対して脳スライス標本を作成し,人工脳脊髄液(細胞外液)を還流しながら顕微鏡下に線条体の投射ニューロンであるMS (medium spiny)ニューロンに対してwhole-cell patch clampを行った.その後,current clampモードによりその静止膜電位(RP)を観察した。虚血の作成に際しては,酸素およびグルコースの代わりに窒素とスクロースを添加し,また,吸入麻酔薬のGABA受容体への影響を観るため,GABA受容体阻害薬であるBMI (biculline methiodide)を添加した. その結果,マウスMSニューロンでのRPは約-80mVであった.そこへ虚血負荷を行うとRPは徐々に上昇するが,5分間の虚血負荷でRPがもとに戻る率,すなわち可逆性に経過する回復率は45%であった.また,吸入麻酔薬(セボフルラン:2MAC)を添加すると,5分間の虚血負荷においてその回復率は95%に上昇した.しかし,BMIを添加すると回復率は19%に低下してしまうが,吸入麻酔薬を添加していてもその回復率は19%のままと回復しなかった. このように吸入麻酔薬負荷により5分という虚血負荷に対しても回復率の上昇がみられたが,BMIを加えた状態では虚血耐性の効果は消失したように感じられた.よって,吸入麻酔薬による脳保護効果には,GABA受容体の働きが関与していることが示唆された.
|
Research Products
(3 results)