2004 Fiscal Year Annual Research Report
シグマ1受容体を介した各種麻酔薬の作用に関する研究
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16591572
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中尾 慎一 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10207714)
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Keywords | シグマ1受容体 / プロポフォール / ペンタゾシン / IP3受容体 / c-fos / 後帯状・後板状皮質 |
Research Abstract |
1)シグマ1受容体に対する受容体結合実験 ラット脳より小胞体膜を調整し、シグマ1受容体選択的アゴニストである(+)SKF-10,047の膜への結合に対する静脈麻酔薬、プロポフォール、デクスメデトミジン、ドロペリドール、チオペンタールの効果を調べた。プロポフォール、デクスメデトミジン、ドロペリドールのKi_<50>はそれぞれ10.2±0.6,5.73±1.2,0.17±0.03μMであり、プロポフォールの阻害様式は非競合性であった。チオペンタールは調べた濃度では全く作用しなかった。 2)プロポフォールのブラジキニン誘発性細胞内カルシウムイオン上昇に対する効果 シグマ1アゴニスト(+)ペンタゾシン100nMにより、ブラジキニン誘発性細胞内カルシウム濃度上昇が増強することがすでに報告されている。我々は、NG-108細胞を用いて、(+)ペンタゾシン100nMによりブラジキニン誘発性細胞内カルシウム濃度の上昇が確かに増強されること、しかし、プロポフォール1,10,100μMでは増強が認められないことを見出した。 3)ペンタゾシン誘導性後帯状・後板状皮質におけるc-Fos発現に対するプロポフォールの作用 後帯状・後板状皮質におけるc-Fos発現は、薬剤の精神異常誘発作用(幻覚や妄想)の良い指標になることが報告されている。シグマ受容体アゴニストであるペンタゾシン誘発性のこのc-Fos発現に対するプロポフォールの作用を調べた。マウスを用いて、イントラファットもしくは70mg/kgプロポフォールを腹腔内投与した後、ペンタゾシン60mg/kgを投与した。ペンタゾシンは後帯状・後板状皮質に特異的かつ多量のc-Fos発現を引き起こしたが、プロポフォールはこの発現を有意に抑制した。 以上よりプロポフォールはシグマ1受容体拮抗作用を有することが証明された。
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