2004 Fiscal Year Annual Research Report
染色体異常に基づいた前立腺癌の進展・予後を予測する新たな生物学的マーカーの検索
Project/Area Number |
16591579
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
土谷 順彦 秋田大学, 医学部, 助教授 (70282176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽渕 友則 秋田大学, 医学部, 教授 (00293861)
堀川 洋平 秋田大学, 医学部, 助手 (40361232)
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Keywords | 前立腺癌 / 染色体異常 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
前立腺癌において8番染色体は高率に染色体異常を示すことが知られている。特に、8q21は高頻度に欠失する領域として知られており、同部位にはlipoprotein lipase遺伝子(LPL)が存在している。また、LPZには複数の遺伝子多型の存在が明らかにされている。我々は脂質代謝において重要な役割を担うLPL(リポ蛋白リパーゼ)遺伝子多型と前立腺癌(PCa)、前立腺肥大症(BPH)の発症、進展との関連を検討したところ、LPL活性の上昇を来たすとされるSer447stop CG+GG遺伝子型の頻度は前立腺肥大症(22.0%)、正常男性(20.7%)と比較して前立腺癌患者(28.6%)で有意に高かった(aOR,1.625;95%CI,1.068-2.471,p=0.023)。また、CG+GG遺伝子型は、低分化癌(aOR=2.843;95%CI=1.252-6.458)、有転移癌(aOR=2.300;95%CI=1.042-5.074)において、正常男性と比較して有意に出現頻度が高かった。HindIII、PvuII遺伝子多型と前立腺癌の易罹患性や臨床病理学的因子との間に有意差は認められなかった。前立腺肥大症と3遺伝子多型との間に有意な関連は認められなかった。 前立腺癌とInsulin-like growth factor-I(IGF-I)は細胞表面に存在するIGF-Iレセプターを介してアンドロゲン非存在下で直接アンドロゲンレセプターの活性化作用を持つことが知られている。また、IGF-Iのプロモーター領域にはCA反復多型が存在することが知られており、これによりIGF-Iの発現が調節を受けている可能性が示唆されている。我々は、前立腺癌と肥大症の発症と前立腺癌の進展における本多型の関与を検討した。解析はGeneScanを用いて行った。二つのアレルのうち長いアレルを基に4群に分けて検討すると、前立腺肥大症と前立腺癌のリスクは18未満の例と比較して反復数19を持つ例で有意に高かった。また、反復数19アレルは遺伝子量効果をもって前立腺肥大症と前立腺癌のリスクアレルであった。しかし、前立腺癌の異型度や病期と本遺伝子多型との間に関連性はみられなかった。
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Research Products
(4 results)