2005 Fiscal Year Annual Research Report
機能的解剖を応用した勃起能、射精機能および膀胱機能温存の研究
Project/Area Number |
16591581
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊藤 一人 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00302472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和浩 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80312891)
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Keywords | 機能的解剖 / 排尿機能 / 性機能 / 神経刺激装置 / 神経温存手術 / QOL |
Research Abstract |
従来の癌に対する手術は根治性を最優先に、広範囲な切除が治療の基本であった。しかし近年、治療成績とともに、生活の質(QOL)に関しても同等に重要であるとの認識が広まっている。癌の根治手術時の神経温存は、各種臓器機能温存の観点から重要であるが、正確な神経温存の困難さから、必ずしも満足のいく周辺臓器の機能温存はできていない。神経の走行に関する術中の正確な走行をとらえ、また癌病巣摘除後の神経温存の客観的な評価をおこなうことは重要である。本研究において、神経走行に関して、神経の電気刺激装置を用いた術中の評価が可能になったことはすでに報告した。 昨年度の科研費で装置の改良を行い、操作性は向上したが、本年度の装置の改良により電気生理学的知識の予備知識がない場合でも容易に操作可能なプロトタイプの装置が完成し性能の評価中である。また、臨床面では同様の装置を有する施設が増えており有用性等に関する多施設共同研究を企画中である。癌の根治術中の神経走行、神経刺激による陰茎内圧の評価に関しては、神経温存を希望する膀胱癌、前立腺癌、直腸癌の症例を対象にし、膀胱機能温存の評価に関しては、直腸癌、子宮癌の症例を対象にして症例を重ね、本年度の研究期間中に事前に文書による同意を得た25名において臨床研究を実施した。手術時の評価は、癌病巣摘除前に、神経走行に関して、電気刺激による客観的な同定をおこない、癌病巣摘除後に膀胱への運動神経、勃起神経が温存されたと判断されたところで刺激電極を目標位置に置き、約30秒間の刺激をおこない、陰茎海綿体圧あるいは膀胱内圧の記録をおこなった。術後の評価に関しては、膀胱機能に関しては残尿量の測定をおこない、残尿量が150ml以上の場合には、膀胱内圧測定による知覚神経・運動神経の評価を行い、薬物療法の適応としている。また、排尿状態に関する主観的な指標としては、問診として国際前立腺症状スコアー(I-PSS)とQOL indexによるスコア化をおこなっており、残尿量と問診による評価は、原疾患の外来通院に合わせて、2〜3ヶ月ごととに実施した。勃起能に関しては問診による評価を行なった(IIEF-5)。本研究に関連する事項に関しては、生命倫理・安全対策等に関する手続きは群馬大学倫理審査委員会で承認済みであり、医学的な所見以外の個人識別情報を削除し、個人情報を連結不可能な匿名化を行ったのち、すべての医学的・統計学的な解析を行なった。
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Research Products
(6 results)