2005 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン非依存前立腺癌に対する遺伝子治療を根幹とした新たな集学的治療戦略の確立
Project/Area Number |
16591586
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小中 弘之 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (40334768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
並木 幹夫 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (70155985)
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Keywords | 遺伝子治療 / プロモーター / デキサメサゾン / PSA / アデノウイルスベクター / 自殺遺伝子 |
Research Abstract |
進行性前立腺癌においては内分泌療法が治療の根幹をなす一方で,ホルモン非依存性癌における有効な治療法は未だ確立されていない.我々は前立腺癌に対する遺伝子治療,特に癌細胞特異的プロモーターを利用したストラテジーの確立を目指した研究を推進してきた.以前よりPSAプロモーターを用いた前立腺癌細胞特異的遺伝子発現系の研究が欧米で精力的になされ,米国では同プロモーターを用いた前立腺癌遺伝子治療の臨床治験も行われてきた.しかし,遺伝子治療に用いる上で,PSAプロモーターの欠点がいくつかが明らかになってきており,何らかの改良が必要と考えられている.今回の我々の検討で以下のことを明らかにした. 1)PSAのプロモーター領域を詳細に再検討することによって,新たに作製したキメラPSAプロモーターは前立腺癌細胞特異性を保持しつつ,その活性はアンドロゲン(R1881R)のみならずデキサメサゾン(DEX)によっても誘導されることをルシフェラーゼアッセイにて確認した. 2)5.8kbのプロモーター領域にinternal deletionやsite-specific mutagenesisの手法を用いて種々の修飾を施すことによってプロモーター活性が増強した.具体的には,PSAプロモーター領域のNF-κB結合部位をGaL4というコンセンサス配列に置き換えると,アンドロゲン存在下でそのプロモーター活性は増大した. 3)最もプロモーター活性が高かったPSAキメラプロモーター(pXPSA)を選択し,それによってドライブされる治療用遺伝子として,アポトーシス誘導遺伝子や癌抑制遺伝子,あるいは将来の放射線療法との併用を念頭に放射線感受性増強作用のある自殺遺伝子を組み込んだ発現ベクターの構築をすすめた. 4)2種の自殺遺伝子CDとUPRTを組み込んだ発現ベクター(pXPSA-CD+UPRT)を構築した.さらに,このプラスミドからXPSAプロモーターと自殺遺伝子(CD+UPRT)とポリA配列をインサートとして切り出し,コスミドベクターに挿入し,コスミドベクター(CoS : XPSA-CD+UPRT)を構築した. 我々が目標としているDEX投与とPSAキメラプロモーターを利用した遺伝子治療という新たな集学的治療戦略は,今後の再燃前立腺癌に対する治療のブレークスルーになりうる可能性があり,学問のみならず社会に大いに貢献しうると考えられた.
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