2004 Fiscal Year Annual Research Report
S100ファミリー蛋白の腎癌における発現と早期診断および分子標的療法の可能性の検討
Project/Area Number |
16591591
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大園 誠一郎 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 教授 (00183228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 達也 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助手 (90324350)
古瀬 洋 国立大学法人浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (00345828)
野沢 龍嗣 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (70053163)
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Keywords | 腎がん / S100蛋白 / S100A10 / S100A4 / Annexin II / TdPRase |
Research Abstract |
S100蛋白は約20種類がファミリーを形成し、組織特異的に発現し、標的分子と結合し機能を発揮する。ヒトでは14種類の遺伝子が1番染色体のlq21領域にclusterとして存在し、S100A1-S100A14と命名されている。この領域は、癌において染色体の転座などの異常が頻繁に認められる。我々はS100A1とS100A10が腎癌組織(n=5)に特異的に発現し、非癌組織ではS100A5が発現し、健康成人尿中にはS100A5が確認できることを過去に報告した。 今回、RT-PCRにより本研究期間に摘除した腎癌組織(n=11)と非癌組織のS100A1、A10を測定した結果、腎癌組織におけるS100A10の陽性率は75%と比較的高率であった。一方、S100A1はほとんどすべての腎癌組織と非癌組織において検出された。細胞膜においてS100A10の標的分子であり、テトラマーを形成するAnnexin IIの発現も併せて検討した結果、S100A10と同様に75%で発現した。しかし、S100A10、Annexin IIと腎癌の臨床病理学的因子の間に関連性はなかった。 S100A10は腎癌に比較的高率に発現する分泌型蛋白で、今後尿や血清においての検討を加え、腎癌腫瘍マーカーとしての可能性を調べる必要がある。また、分子標的となりえるか検討するため、症例数を増やしてその局在を詳細に調べる予定である。 一方、我々は腎癌組織における血小板由来の血管内皮細胞増殖因子であるTdPRaseの発現と予後因子としての可能性に関しても検討してきた。一方、S100A4は癌の浸潤・転移に関与し、予後因子の1つで、一部の癌では血管新生因子と報告されているため、S100A4とTdRPaseの関連性も検討している。S100A4は多くの組織や細胞で発現しており、腎癌の予後因子としての可能性につき、今後症例を追加し検討する予定である。
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Research Products
(3 results)