2005 Fiscal Year Annual Research Report
S100ファミリー蛋白の腎癌における発現と早期診断および分子標的療法の可能性の検
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16591591
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大園 誠一郎 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00183228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麦谷 荘一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (00166224)
古瀬 洋 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (00345828)
野澤 龍治 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (70053163)
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Keywords | 腎がん / S100蛋白 / Annexin II / TdRPase / S100A10 / B-FABP |
Research Abstract |
ヒトS100蛋白は14種類(S100A1-S100A14)の遺伝子が1番染色体の1q21領域にclusterとして存在する。そこで、研究期間に切除した腎癌組織と正常部腎組織のS100A1、A10をRT-PCRにて測定した。その結果、腎癌組織におけるS100A10の陽性率は75%と比較的高率であったが、S100A1はほとんどすべての腎癌組織ならびに正常部腎組織において検出された。また、細胞膜においてS100A10の標的分子であるとされ、テトラマーを形成するAnnexin IIの発現も検討した。Annexin IIとそのリガンドのS100A10は腎においては遠位尿細管から集合管にかけて発現しているが、近位尿細管に由来する腎癌組織では、Annexin IIとS100A10が遺伝子および蛋白レベルで強く発現していた。また、腎癌組織におけるS100/Annexinの過剰発現と癌の病理・臨床因子との関連について検討した結果、S100A10と同様75%で発現が認められた。一方、腎癌組織における血小板由来血管内皮細胞増殖因子のTdPRaseの高発現についても昨年度に引き続き確認した。 結果をまとめると、1.腎癌組織47例について、3つのマーカー候補遺伝子(S100A10,Annexin II,B-FABP)の評価を行った結果、3つとも癌部位で遺伝子の過剰発現が確認されたが、特にB-FABPは腎の正常組織での発現がほとんど認められず、最も特異性が高いと判定された。2.腎癌の病理学的因子と過剰発現を検討した結果、核異型G1でのみ、S100A10とAnnexin IIの共過剰発現が有意に認められた。3.臨床的背景因子との相関を検討した結果、腎癌組織、正常部ともにS-100 A10mRNAの検出例・非検出例の間で臨床病期、異型度、浸潤様式および腫瘍長径、CRP・IAP等のパラメータで差は認めなかった。
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Research Products
(4 results)