2004 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌の進展予測DNAチップの作製と予後予測システムの構築
Project/Area Number |
16591603
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中川 昌之 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90164144)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 賢龍 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80264422)
関 直彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50345013)
|
Keywords | 膀胱癌 / 浸潤性 / DNAマイクロアレイ / クラスター解析 / 再発 |
Research Abstract |
(目的)近年増加傾向にある膀胱癌は表在性腫瘍であっても非常に再発しやすい腫瘍である。さらに再発を繰り返すことにより次第に生物学的悪性度(異型度や浸潤度など)も上昇してくる。そこでわれわれは膀胱癌の進展に関与する遺伝子群を検討するために、DNAマイクロアレイ法にて膀胱癌の浸潤性に関連する遺伝子群の同定を試みた。さらにさらに発現変動の認められた遺伝子に関してはReal-time PCRを用いて発現量の定量化を行った。 (方法)対象の患者は2001年1O月から2004年3月までに当施設で膀胱癌の診断で内視鏡手術(TURBT)か膀胱全摘術を受けた14名である。これらの患者より手術で得られた膀胱癌組織と正常粘膜組織よりmRNAを抽出した。このサンプルを用いて、30,144個の遺伝子プローブが搭載されたオリゴアレイ(日立ソフト社製AceGene)を用いて9名の表在性膀胱癌標本と5名の浸潤性膀胱癌標本、さらに正常膀胱粘膜での遺伝子発現の差を検討した。得られたデータに対して臨床病理学的な情報を加え、クラスター解析を行った。さらに発現変動の認められた遺伝子に関してはReal-time PCRを用いて発現量の定量化を行った。 (結果)21の発現上昇のみられた遺伝子群と18の発現低下のみられた遺伝子群が同定された。これらの発現上昇のみられた遺伝子は、細胞周期、細胞増殖、シグナル伝達に関与している遺伝子であった。現在、この中で特に発現の程度が正常膀胱粘膜で低く、表在癌、浸潤癌と悪性度が上昇するにつれて上昇してくる遺伝子についてその機能や特徴を検討中である。 (結論)これらの実験より、細胞周期、細胞増殖、シグナル伝達に関与している遺伝子群の中に膀胱癌の浸潤性を規定している可能性のある遺伝子があると考えられた。
|