2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591604
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
内田 厚 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (80245571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 由英 琉球大学, 医学部, 教授 (50051719)
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Keywords | 血管新生 / 血管内皮細胞 / 前立腺癌 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
PSMA発現による血管内皮細胞の形質変化の検討 PSMAの血管内皮細胞内での役割を調べるため、PSMAの過剰発現モデルの作製を試みた。前立腺癌細胞LNCaPよりRNAを抽出し、RT-PCRにてPSMA cDNAを増幅し、TA cloning法でクローニングした。当初、PSMA遺伝子全長を用いた発現プラスミドの作製を試みたがクローニングが困難であった。発現するPSMA蛋白の生理的働きによるものかは今のところ不明だが、発現を抑制する機構を組み込んだ発現系プラスミドを用いてクローニングを試みている。(pENTR/TOPO plasmid, Invitrogen)。さらに発現ベクターであるpTREX-DEST30 plasmidにsubcloningを行い、血管内皮細胞にPSMAを強制発現させて細胞増殖の変化を観察する予定である。 自殺遺伝子治療に用いるcytosine deaminase(CD)遺伝子のクローニングと蛋白機能の解析 これまで我々の研究で用いられてきた大腸菌由来CD蛋白は真菌由来の物と比べて酵素活性が低いと考えられていた。そのため新生血管を標的とした遺伝子治療の効果をさらに増強するため、真菌(Sacchatomyses serevisiae)よりCD遺伝子をクローニングした。さらに発現プラスミドにサブクローニングして大腸菌由来CDと酵素活性の強度を定量比較した。その結果、大腸菌由来CDは真菌由来に比較して常温で安定性が強く、in vitroにおける遺伝子発現下での腫瘍増殖抑制効果はむしろ優れていることが確認された。真菌由来のCDは分子量が約3分の1であり、in vivoで用いた場合の抗原性は不明であるため、今後はin vivoでの比較を行うことにより活性の強いconstructを遺伝子治療のモデルに用いたいと考えている。また下記の実験結果を併せ、遺伝子治療の増感効果を発揮する手法の開発をすすめたい。 PSMA発現調節機序の解明 前立腺癌細胞株LNCaPにおいてrTSβ蛋白発現増強とPSMA発現が逆相関する事が観察された。rTSβはDNA de novo synthesisを抑制する事が知られている。PSMAは癌の新生血管に発現すること、臨床的には高悪性度の前立腺癌で発現が増強することから、rTSβの細胞増殖抑制作用が、PSMAの発現を介して働いている可能性が考えられた。そのため、rTSβ蛋白の発現とPSMAの関係に注目して実験を行った。rTSβの強制発現系を作製し、前立腺癌の細胞増殖がrTSβの発現により抑制されること、自殺遺伝子治療で殺細胞効果を発揮する5-fluorouracilの作用が増強されることを確認した。
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