2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌の進展・転移におけるインターフェロン経路の役割の検討
Project/Area Number |
16591617
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
釜井 隆男 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80316562)
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Keywords | 腎細胞癌 / インターフェロンαレセプター1型 / インターフェロンαレセプター2型 / real-time RT-PCR / western blotting / インターロイキン10 |
Research Abstract |
腎細胞癌患者の摘出腎の癌組織と正常腎組織を用いてインターフェロンαレセプター遺伝子(1型:IFNAR1と2型:IFNAR2)のmRNAとタンパク質の発現を各々real time RT-PCR法とWestern blottingにて定性化・定量化した。局所浸潤や転移を有する進行腎癌の症例の癌細胞では、早期癌の症例のそれと比べ、IFNAR2のmRNAと蛋白質の発現が高いのに対しくIFNAR1は有意差がなかった。更に局所に限局した腎細胞癌においても、術後に転移を併発したものでは、再発を来さないものと比べ、IFNAR2のmRNAと蛋白質の発現が高い傾向にあった。また膀胱癌と精巣腫瘍においても、早期癌と進行癌とでIFNAR2のmRNAと蛋白質の発現を比較したところ、腎細胞癌と同様に、進行癌で発現が亢進していた。これらのことから、IFNAR2は癌の進行と関連しており、予後を推察する因子に成り得る可能性が示唆され、これらの成果を国際誌に投稿すべく準備中である。 一方、IFNAR1とIFNAR2遺伝子の間に存在するインターロイキン10の、腎細胞癌における動向を調べるため、インターロイキン10のmRNAの発現をreal time RT-PCR法にて検討した。症例数が少なく統計学的な有意差は見いだせなかったが、早期癌に比べやはり進行癌での方が発現量が増大している傾向があった。腎細胞癌におけるIFNARの役割をより詳細に検討する上で、その遺伝子の近傍に存在しているインターロイキン10の動向は非常に重要だと考えられるので、今後とも検討していく予定である。
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