2004 Fiscal Year Annual Research Report
肛門挙筋の分化・再生に関する基礎的研究-ホルモンと神経の関与-
Project/Area Number |
16591624
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
白間 一彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (00074659)
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Keywords | 肛門挙筋 / TRPM-2 / clusterin / 免疫電顕 / Z-線 / Androgen / ラット |
Research Abstract |
ラット肛門挙筋は直腸を包み、ペニス下部に起始・停止するリング状の骨格筋である。この筋は男性ホルモン依存性で、雄では発達しているが、雌にはみられない。雄の肛門挙筋は去勢により萎縮し、Androgen投与により肥大する。他方、Anti-apoptotic遺伝子であるTestosterone-regressed prostate message-2 (TRPM-2/clusterin)は去勢等によるAndrogen欠乏の際に発現する。今回はこのTRPM-2が去勢による退化肛門挙筋にも発現するか否かをWestern blotting法と免疫電顕法を用いて調べた。TRPM-2は前立腺と異なり、正常肛門挙筋にも発現した。TRPM-2の局在は免疫電顕で観察した。正常肛門挙筋におけるTRPM-2金コロイド粒子は主としてI-帯(73.7±16.3%)とくにZ-線上に限局(53.1±10.2%)する。去勢しても金粒子は主としてI-帯(53.1±10.2%)に観察されるが、Z-線上の金粒子は有意に減少していた(26.5±4.1%)。更に、正常外側広筋でもTRPM-2は発現し、その局在は正常肛門挙筋と同様であった。骨格筋におけるApoptosisの有無については議論の的になっているが、Anti-apoptotic遺伝子はAndrogen-依存性骨格筋である肛門挙筋やAndrogen-依存性の低い外側広筋にも発現するという今回の結果から、肛門挙筋では前立腺様の去勢によるApoptosisは起こらないと思われる。また、TRPM-2は正常肛門挙筋や外側広筋のI-帯とくにZ-線上に局在することから、Anti-apoptotic遺伝子というよりはむしろZ-線を構成する一種の構造蛋白を発現する遺伝子と考えられる。今年度は、雌肛門挙筋の分化に対する男性ホルモン投与の効果をこの遺伝子の発現はもとより、骨格筋特異蛋白の発現時期についても免疫組織学化学的・超微構造的に検討する予定である。
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Research Products
(2 results)