2005 Fiscal Year Annual Research Report
肛門挙筋の分化・再生に関する基礎的研究-神経とホルモンの関与-
Project/Area Number |
16591624
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
白間 一彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (00074659)
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Keywords | 肛門挙筋 / 発達 / Androgen / 雌ラット / 免疫電顕 |
Research Abstract |
本研究は、肛門挙筋の分化・再生に関する機序を主として内分泌学的に検討することを目的とした。この目的を達成するために、Andregen-依存性が極めて高く、性差の見られるラット肛門挙筋を用いた。雄ではよく発達しているが、雌では欠損ないしは退化構造を示す。先ず、肛門挙筋が前立腺のように、去勢によってanti-apoptotic遺伝子であるtestosterone-regressed prostatic message-2(TRPM-2)を発現するか否かを検討した。前立腺では、去勢後3日目に約600-700倍のTRPM-2を発現したが、肛門挙筋では、去勢同様正常でも発現し、その発現部位はI-帯とくにZ-線上であった。更に、その発現部位は、去勢によりZ-線上からずれることが明らかになった。このことから、肛門挙筋におけるTRPM-2の発現する蛋白はZ-線の構造蛋白である可能性が示唆された。 次に、肛門挙筋の発達過程について検討した。性成熟雌ラットの筋は欠損もしくは退化構造を示すが、出生直後には雄同様に発達していた。しかし、3日目以降は退化していた。出生日にAndrogenを一回投与すると、5日目には発達していたが、7日目以降退化構造を示した。他方、出生当日雌ラットにAndrogenを投与し、性成熟後に再びAndrogenを一回投与すると、肛門挙筋は発達した。しかし、出生日にAndrogenを投与しない動物では成熟後のAndrogen投与の効果は見られなかった。このことは、出生時のAndrogen投与が性成熟後のAndrogenに対する反応性を慢性的に変更することを示す。骨盤底とくに肛門挙筋の分化・発達には周産期のホルモン環境が重要であり、その維持には性成熟後のホルモンレベル維持が大切であることを意味する。
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Research Products
(1 results)