2005 Fiscal Year Annual Research Report
新たな卵巣内局所調節因子の発見と、黄体機能不全の病態の解明
Project/Area Number |
16591640
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中村 和人 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60332558)
|
Keywords | FSHレセプター / LHレセプター |
Research Abstract |
正常月経周期を有する婦人の卵巣内には、ヒトLHレセプター(hLHR)とそのスプライスバリアントでありexon 9を欠損したLHR(exon 9)の存在を確認した。LHR(exon 9)は、in vivoではその機能の詳細な検討は行えないため、in vitroの系つまり293 cellにトランスフェクションして実験を行った。その結果、LHR(exon 9)の発現によりFSHレセプター(FSHR)と、LHR共に細胞膜表面への発現が抑制されることが明らかになった。そのメカニズムとして、LHR(exon 9)がFSHRあるいはLHRと結合することにより、細胞膜表面に到達することなくライソゾームに運ばれて分解されることによると考えている。さらにLHR(exon 9)の月経周期での発現パターンを調べてみた。その結果、月経周期の10日目頃よりLHR(exon 9)の発現が始まり、増加した。さらに排卵期を契機に増加が亢進して月経周期の20日目前後にピークとなった後、減少した。このことが実際の卵巣内でも当てはまるなら、排卵期にはFSHRの発現を、黄体後期ではLHRの発現を抑えることにより卵巣の機能調節に、LHR(exon 9)が直接関与していることになる。 さらにLHR(exon 9)の機能について、検討を加えた。その結果、LHR(exon 9)は細胞膜表面に発現することなく細胞内に存在することが明らかになった。細胞内でmRNAが翻訳されてタンパクが合成された後、3次元構造の変化や糖鎖の付加などの二次修飾が施される。この過程にはシャプロンという蛋白が関与していると言われている。LHR(exon 9)の機能を調べる過程で、シャプロンの中でもGRP78との結合が減少していることが新たに判った。今後はゴナドトロピンレセブターの発現調節に対し、シャプロンの関与について、研究を進めていきたい。
|