2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規癌抑制蛋白HUMAN SCRIBBLEの遺伝子治療への応用を目指した基礎的研究
Project/Area Number |
16591645
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中川 俊介 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70270874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 哲 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (90251264)
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Keywords | human Scribble / 癌抑制蛋白 / 細胞極性 / LAP蛋白 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
human scribble(以下hScrib)は16のleucine-rich repeatと4のPDZ domainをもつLAP蛋白であり、HPV E6癌蛋白とE6APにより、ubiquitinを介するメカニズムで分解を受けるターゲットとして、我々により同定された。E6により同様に分解される癌抑制蛋白にhDlgがあり、そのショウジョウバエのホモローグDlgは、scribbleと同様に細胞極性を決定する癌抑制蛋白である。hDlgはAPCとPDZ domainを介して結合することにより、G0/G1期からS期への細胞周期の進行を阻害する。我々は、hScribがhDlgと同様にPDZ domain 1および4を介して、APCのC末端に結合することを報告した。今回我々はhScribがhDlgと同様の細胞周期調節を介し、細胞増殖抑制能をもつかを検討した。また、その細胞増殖抑制能と細胞内局在との関連についても検討した。我々は、NIH3T3細胞にGFP fusion hScribを導入し、導入された細胞におけるBrduの取り込みにより細胞周期調節能を検討した。薬剤耐性遺伝子とともに全長およびいくつかのドメインを欠失させたhScrib発現ヴェクターをNIH3T3細胞に導入し、G418薬剤耐性コロニーの形成により細胞増殖抑制能を解析し、各々のGFP fusion hScribのMDCK細胞における細胞内局在は蛍光抗体染色法により検討した。hScribが導入されたNIH3T3細胞はBrduの取り込みが減弱し、コロニーの形成も抑制された。PDZ domainを欠失したhScribは細胞膜に局在を示さず、細胞周期調節能および細胞増殖抑制能も同時に失った。また、GFPに結合したhScribを発現するNIH3T3細胞は、細胞周期がS期の細胞が少なく、一方G1期の細胞が多いことより、hScribは細胞周期をG1期からS期に移行することを阻害することにより細胞増殖を制御することを証明したHPV E6の標的蛋白であるhScribは上皮細胞の細胞膜に発現し、細胞周期の調節を介して細胞増殖を抑制することが示され、その機能にはPDZ domainが必要であることより、hScribはhDlgと同様にAPCと協調してこれらの機能を発揮していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)