2005 Fiscal Year Annual Research Report
セルピン分子制御に基づく新しい子宮頚癌の治療戦略の開発
Project/Area Number |
16591664
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
縄田 修吾 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60294625)
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Keywords | セルピン / SCC抗原 / マスピン / 子宮頸癌 / 扁平上皮癌 / 腫瘍マーカー / 分子多様性 / 電気泳動法 |
Research Abstract |
女性に発生する悪性腫瘍の中で進行子宮頸癌はいまだ予後不良の疾患の一つである。本研究では、進行子宮頸癌の新しい治療法の開発を目指して、最近癌における生物学的意義が注目されているセリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)ファミリーの中で、特に2種類の機能分子、すなわち、腫瘍形成促進的に働くと思われるSCC抗原(SCCA)と、乳癌の癌抑制遺伝子として発見されたマスピンに着目し、子宮頸癌での発現及び癌の進展機構におけるその生物学的意義の解明を試みた。SCCAには、アミノ酸レベルで92%と高い相同性を有するSCCA1、SCCA2が存在するが、新たに作成したポリクローナル抗体PabY1はSCCA1蛋白のみを、PabY2は両蛋白とも認識した。今回、PabY2を利用して組織中の両蛋白の発現動態を簡便に解析する方法を開発した結果、正常扁平上皮と癌におけるSCCA発現パターンは異なっており、癌では特にSCCA2蛋白の亜分画の発現が亢進していると考えられた。また、SCCA1、SCCA2の細胞外における新たな機能として、マトリックスメタロプロテアーゼ-9分泌に影響を及ぼし、扁平上皮癌の浸潤能にも関与している可能性を見い出した。このことから、SCCAは、血清腫瘍マーカーとして臨床上利用されているが、癌細胞の性格に影響を及ぼす生物学的予後因子としての側面を有するものと推察された。一方、子宮頸部の正常扁平上皮および扁平上皮癌組織のマスピン発現について電気泳動法により解析した結果、マスピン蛋白は、正常扁平上皮に比し扁平上皮癌での発現低下を認めた。特にリンパ節転移陽性例ではマスピン蛋白の発現が減弱する傾向を認めたことから、子宮頸癌においても、マスピン蛋白の発現変化が癌の浸潤・転移に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)