2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラットモデルを用いたpolycystic ovaryの病態研究
Project/Area Number |
16591676
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 俊明 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (90213595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 英樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00295346)
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Keywords | polycystic ovary syndrome / insulin resistance / testosterone / apoptosis / Fas / Fas Ligand / caspase 8 / MT1-MMP |
Research Abstract |
多嚢胞性卵巣症候群PCOSに関して代表的な病態は高アンドロゲン血症とインスリン抵抗性である。高アンドロゲンの卵巣に及ぼす影響は、dehydroepiandrosterone(DHEA)を幼若メスラットに15日間連続投与しPCOラットを作成し閉鎖卵胞のメカニズムを検討した。TUNEL法で検討したところ、DHEA投与により有意に閉鎖卵胞は増加した。また卵巣のFas分子の発現の増加はないもののFasL分子の発現は増加し、Caspase-8のprocessingも増加していたところからFas/FasLの活性化を介したapotosisによって卵胞閉鎖が起こることが判明した。またMT1-MMPの発現増加も、mRNAレベル、gelatin zymographyで明らかになったことから、この卵胞閉鎖過程にはMT1-MMPによる細胞外マトリックスのremodelingが同時に起きていることが判明した。このモデルは高アンドロゲン血症状態は反映しているが、インスリン抵抗性状態は反映していないので、インスリン抵抗性をもつZucker rat(fa/fa)を用いその内分泌動態、生殖能力、卵巣の形態的特徴について検討した。このラットはインスリン抵抗性をもつが、糖尿病ではない。Ageとともに内臓脂肪が増強し、インスリン抵抗性が出現してくる。結局は性周期が失われ、不妊となる。血中ホルモン値は、週齢とともに変化し、LHが少しづつ上昇していた。血中adiponectinは週齢とともに肥満が進んだ結果、徐々に低下して行った。TUNEL法陽性の閉鎖卵胞の割合も週齢とともに増加し、8週齢の卵巣には、特徴的な小胞の集積が認められた。これは閉鎖過程の進んだ卵胞と思われるが、管腔の形態から血管との鑑別のため、血管内皮に陽性であるfactor 8で染色してみた。結果は染色されなかったことから血管ではないことが判明した。また透過型電子顕微鏡による検討では、退行過程の進んだ卵胞であることが推察される所見だった。以上のことから、高testosterone血症ではなく、インスリン抵抗性そのものがapoptosisを誘導し卵胞を閉鎖に導くことが明らかになり、PCOSの臨床像の解析をする上で非常に重要な知見が得られた。
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Research Products
(3 results)