2005 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜の分化と細胞運動におけるヒストンアセチル化の役割の解明
Project/Area Number |
16591683
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90286534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10209702)
吉村 泰典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10129736)
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Keywords | 子宮内膜上皮細胞 / 分化制御 / 細胞運動 / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 / グリコデリン |
Research Abstract |
生殖期におけるヒト子宮内膜組織は、受精卵の着床に対応すべく、剥離・分化・再生を反復する。前年度に引き続き、ヒト子宮内膜腺上皮細胞のモデルとして腺癌細胞株Ishikawaを用いて、近年抗がん剤としての臨床応用が間近であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACI)添加実験を行い、子宮内膜腺上皮細胞の分化誘導・運動機能制御・増殖機能制御につき、解析を加えた。その結果、以下の通り性ステロイドホルモン添加と同様の反応を示し、これまで子宮内膜機能破綻に関連する子宮内膜症や着床障害といった疾患群に対して、HDACIの性ホルモン製剤の代替となる新規治療法としての可能性を示唆した。 HDACIによる子宮内膜腺上皮細胞の分化誘導 前年度までの細胞形態変化、グリコゲン産生能の上昇が子宮内膜分泌期特異的タンパク質グリコデリンの発現誘導を介して起こることを明らかにしたことに加え、これらの分化誘導は、性ステロイドホルモン受容体の動態には、なんら変化を与えないことを明らかにした。(Uchida et.al. Endocrinology, 2005) HDACIによる子宮内膜腺上皮細胞の運動機能制御 細胞の個々の運動、集団としての運動の双方において、HDACIが運動促進にはたらくことを明らかとした。また、それらがグリコデリン発現誘導を挙動を一致させていることを、siRNAを用いたgene silencingとともに、恒久的にグリコデリンを発現するIshikawa遺伝子導入株を用いた解析から明らかにした。(投稿準備中) HDACIによる子宮内膜腺上皮細胞の増殖機能制御 子宮内膜腺上皮細胞の増殖が性ステロイドホルモン同様、低濃度のHDACIによって促進することを明らかにするとともに、グリコデリンの発現量に応じて、正負対極の増殖機能制御がなされている可能性を明らかにしている。また、その正負相反する機能制御が細胞周期関連因子の発現変化あるいは、細胞死誘導による結果であることを明らかにしつつある。
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Research Products
(2 results)