2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト子宮体癌を移植した新しい動物実験系を用いたヒト腫瘍免疫系の解析と臨床への応用
Project/Area Number |
16591686
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
塚本 真 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50365441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30167788)
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Keywords | 子宮体癌 / MSI / 腫瘍抗原 / 免疫不全マウス / 免疫抑制 |
Research Abstract |
免疫不全マウスにヒト腫瘍組織を移植し、腫瘍特異的ヒトIgG抗体が検出されるのみならず、腫瘍浸潤T細胞も腫瘍中およびマウス脾臓中に観察される。この新しい実験系を用いて、子宮体癌抗原の単離・同定を行う。特に子宮体癌に多いマイクロサテライト不安定性(MSI)由来の異常タンパクに対する免疫応答を解析することにより、MSI陽性子宮体癌患者の予後との関連性を検討する。 子宮体癌で高頻度に変異が認められるPTENのフレームシフト変異が標的になるかを検討し、またMSI陽性患者血清と免疫不全マウスに子宮体癌を移植したマウスでMSI陽性であった免疫不全マウス血清を用いてSEREX法を行った。PTENに対して、全長蛋白質とフレームシフト変異により生じる変異タンパク質EX7(A4)とEX8(A5)を作製し、その抗原性を検討した。健常人20例中2例で全長PTENに対して血清中のIgG抗体が認められたが、EX7(A4)、EX8(A5)に対する抗体は検出されなかった。子宮体癌患者血清33例調べたところ、全長PTENに対して3例にIgG抗体が検出された。EX7(A4)に対しては一例も検出されなかったが、EX8(A5)に対しては2例で抗体が検出された。このうち一例はエクソン8に変異のある患者だったことから特異抗体を持つことが明らかになった。3例のMSI陽性子宮体癌患者血清を用いてSEREXスクリーニングを行ったところ、KIAA0445と既知の癌精巣抗原SCP-1が同定された。MSI陽性であった3例9匹の免疫不全マウス血清を用いてSEREXスクリーニングを行い、18種の遺伝子を単離した。このうち5種の遺伝子について、患者血清が反応するかを調べたところ、いずれも患者血清を用いると検出されなかったことから、免疫不全マウスを用いることにより、効率的に癌抗原の同定が行えることが明らかになった。これら19種の抗原の中でMSIにより、7つの抗原にフレームシフト変異蛋白質が生じる可能性が示され、今後これらフレームシフト変異蛋白質が免疫系の標的となるかの検討を行うことにより、新しい治療法の開発を行う。
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